コロナ感染者急減も、都は第6波に備え病床5000床確保 病院現場は対応に苦慮

2021年11月4日 06時00分
 新型コロナウイルスの東京都内の入院患者は3日時点で134人にまで減った。都は今も約5000床のコロナ病床を確保し、感染ピーク時(6651床)の約75%の状態を維持し「第6波」に備える。しかし、病院現場からは、通常医療との兼ね合いでベッドのやりくりなど対応に苦慮する声も上がっている。(小倉貞俊、加藤健太)

◆先手を打つ

 都は第5波が下降局面にあった9月半ば、第6波が到来した場合、最大で計約9200床を確保する方針を打ち出した。コロナ病床のほか、症状が改善した患者を転院させる病床や、臨時施設の酸素・医療提供ステーションの病床なども含む。第5波ピークの8月末の体制より計約1450床多い。

東京都調布市内に整備された酸素・医療提供ステーションを視察した小池百合子知事(右端)。第5波が収束した今も、こうした施設を残している=9月、東京都調布市で

 都内では1日、新規感染者の報告が9人にまで減り、昨年5月31日(5人)以来、1年5カ月ぶりに1桁台となった。
 だが、第5波では、感染の急拡大に医療提供体制が追い付かなかった。自宅療養中の死者が相次いだことを教訓とし、都の担当者は「想定を上回る拡大ペースに負けないよう、先手を打つ必要がある」と見通す。

◆通常手術や搬送へのしわ寄せ懸念

 問題は、一般医療への影響だ。コロナ病床を確保し続けると、手術の制限など他の病気の患者へ、しわ寄せがいく。例えば、救急車による患者の搬送先がすぐに決まらない件数が、最近も1日約50件ほどある。コロナ禍以前と比べると、2倍の水準だ。
 都医師会の猪口正孝副会長は「コロナ用に確保しているベッドが通常医療に使えないためではないか」と指摘する。
 コロナ病床が55床ある河北総合病院(杉並区)は、10月に入ってコロナの入院患者が10人以下に減った。一方、一般病床は埋まり、空いているコロナ病床にコロナ以外の患者を入院させる逆転現象も起きている。
 岡井隆広副院長は「地域医療に貢献する役割の病院として、1人でも多くの入院や手術に対応したい」としつつ、「いつ第6波が来るか先が見えない。すぐにでもコロナ患者を受け入れられるような環境は整えておかなければいけないが…」と板挟みにある心境を話した。

◆専門家「冬場に感染者が増加する可能性が高い」

 今冬に第6波が到来するかは不明だが、東京都モニタリング会議のメンバーで国立国際医療研究センターの大曲貴夫おおまがりのりお・国際感染症センター長は「これまでの国内外の動向を踏まえると、11~12月ごろに患者数が増加する可能性が高い」と予測する。空気が乾燥する冬場や人出が増加する年末年始を迎えるからだ。
 昨年も秋以降、感染者が増え始めた。ただ、今年は国民の7割以上がワクチンの2回接種を終えている。それでも、大曲氏は「接種後4カ月ほどで発症予防の効果が減弱し始めるとの研究結果がある。重症化予防の効果は保たれても、ブレークスルー感染は起こりやすくなる可能性がある」と指摘する。
 今後も感染防止対策を取り続ける必要がある。小池百合子都知事は10月21日、報道陣の取材に「今この時を重要な期間と捉え、第6波への備えを固めていく」と強調した。

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