脱石炭 各国の足並みそろわず… COP首脳級会合 パリ協定ルール合意に向け正念場

2021年11月4日 06時00分
 英グラスゴーで開催中の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は2日、序盤の首脳級会合を終えた。130人を超す各国リーダーが対面で集まったが、石炭火力発電に頼る国々は「脱石炭」を明確に示せず、足並みのそろわない印象を残した。今後は削減目標達成のカギを握る国際的な排出量取引のルールづくりが焦点となる。
(グラスゴー・加藤美喜、藤沢有哉)

◆「1対5」の劣勢から1,2点挽回?

記者会見するジョンソン英首相=AP

「開幕前は1―5で負けている状況だった。だが、私たちは1、2点を返すことができた」
 議長国・英国のジョンソン首相は2日の記者会見で、世界と温暖化との闘いをサッカーの試合に例え、劣勢を挽回しつつあると強調した。
 各国の排出削減目標を分析すると、今世紀末までに地球の気温は産業革命前と比べて約2・7度上昇する見通しに。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が目指す「1・5度以内」には遠く及ばない状況だ。
 国連などが削減目標の引き上げを求める中、ブラジルやインドなど8カ国が新たな削減目標を表明。途上国の気候変動対策への資金支援でも、日本が最大100億ドル(約1兆1000億円)の追加支援を発表するなど先進国が相次いで協力を申し出た。ジョンソン氏は「慎重だが楽観的だ」と語り、今後の議論への期待を示した。

◆中印、日米も「依存体質」脱せず

 だが各国の歩調はそろっていない。温暖化の元凶と批判される石炭からの脱却が求められる中、世界最大の排出国の中国やインドは1次エネルギーの5割以上を石炭に依存。日本も東日本大震災後に原発停止が相次ぎ、電力供給を石炭や液化天然ガス(LNG)の化石燃料に頼ってきた。
 中国の習近平国家主席は会議に出席せず、バイデン米大統領やインドのモディ首相、日本の岸田文雄首相ら上位排出国の首脳はいずれも近い将来の「脱石炭」に直接言及しなかった。
 脱石炭をけん引する英国や欧州連合(EU)も一枚岩ではない。チェコのバビシュ首相は、欧州全体がロシアの天然ガスに依存している現状や原発の必要性を指摘。高価な再生エネルギーの強制的な導入ではなく、「各国が個々の事情にあった電源構成を選ぶべきだ」と訴えた。
 岸田首相が2日に発表した「化石火力をアンモニア、水素などのゼロエミッション火力に転換する」との事業についても、世界の環境団体でつくる「気候行動ネットワーク」は「未熟で高コストの技術」であり、製造には「化石燃料が関わる」と指摘した。

◆排出量取引ルールづくりがカギに

 難問も残る。日本など自国だけでは排出削減目標の達成が難しい国々にとって、重要なのが国際的な排出量取引だ。他国に支援して排出削減した分を「クレジット」としてもらい、自国の削減量として報告することができる仕組みで、COP26交渉の主要争点は、この制度の整備にある。
 国際的な排出量取引ができれば、削減促進のほか投資の増大も期待される。昨年スタートしたパリ協定のルールブック(実施方針)で、まだ完成していないのが6条(市場メカニズム)の項目で、取引した両国で削減量が「二重計上」されないよう、ルールを決めて分け合う必要がある。
 「1・5度」を達成するためのルールが整備できるか、12日までぎりぎりの交渉が続きそうだ。

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