ガンプラ 驚異の授業メカニズム コロナで工場行けない→組み立てて「モノづくり」学習

2021年11月4日 07時13分

「こいつ、動くぞ!」 完成させたガンプラにいろんなポーズをさせる児童たち

 一九八〇年代に大ブームとなり、今なお根強い人気を誇るアニメ「機動戦士ガンダム」のプラモデル「ガンプラ」。これを小学校の授業で組み立てる試みが始まっている。文部科学省の学習指導要領にのっとった正式な授業で、企画したバンダイスピリッツの担当者は「日本のモノづくりについて楽しみながら学ぶ機会にしてほしい」と意気込む。
 「あ、外れちゃった」「意外に簡単じゃん」。千代田区立富士見小学校で先月二十日、五年生の二学級がガンプラ制作に挑んだ。図工ではなく社会科の授業。組み立て前に、企画から生産までの様子を紹介する十五分ほどの映像を視聴。多くの人がかかわり初めて製品になることや、「ランナー」と呼ばれるパーツを固定するプラスチックは溶解してリサイクルしていることを学んだ。
 授業は連続二コマで行われ、二コマ目でいよいよ組み立てだ。早い児童は十五分ほどで終え、他の児童を手伝った。全員が時間内に完成させることができた。

クラスで一番早く作り上げた千代田区立富士見小の女子児童

 同小学校の五年生はコロナ禍で校外活動が十分にできなかった。ガンプラ制作は、それに代わる取り組みでもある。一組担任の浅島千恵教諭は「実際に製品を作ることで、モノづくりのリアリティーを感じられるのがいいですね」と話す。金田めぐみさん(10)は「帰ったらパパに見せます」と、はにかんだ。
 ガンプラは一九八〇年に初めて登場し、社会現象を巻き起こした。ガンダムシリーズの展開に合わせ、これまで約四千五百種類が発売され、出荷個数は約七億にのぼるベストセラー&ロングセラー製品だ。
 バンダイスピリッツでプロジェクトを担当する松橋幸男さん(41)によると、同社は二〇〇六年から静岡市の工場で社会見学を受け入れ、工事のため中断した一九年まで延べ約四百校の約一万二千人が参加した。しかし、コロナ禍で工場見学の再開のめどが立たなくなった。そこで、全国どこでもできるプラモ制作を考案したという。

授業ではガンプラの製造工程も学ぶ

 五年生が小学校の社会科で学ぶ日本の工業生産や、総合的な学習の時間での活用を想定する。教員向けの指導案制作などで、NHKエデュケーショナルとNPO法人企業教育研究会が協力した。
 プラモは一九七九〜八〇年に放送されたシリーズ第一作、通称「ファーストガンダム」のガンダムだ。全高は約十センチと手のひらサイズだが、関節の可動域が広くさまざまなポーズを楽しめる。
 プラモ未経験者の子どもでも簡単に組み立てられるよう工夫をこらした非売品。市販品はパーツがバラバラに配置され、枠から外した後、どれがどこのものか分からなくなって困ることがある。一方、授業で使うプラモのパーツは、頭部を一番上、脚部は一番下に配置。上から順番に組み立てることで、出来上がりをイメージしやすい。

組み立ての難しさに頭を抱える児童も

 工具や接着剤も不要。松橋さんは「常に改良を重ねてきたモノづくりの神髄を感じてほしい」と話す。
 バンダイスピリッツは参加学校数を公表していないが、九月下旬に案内を始めてから約一カ月で当初計画の四倍以上という。量産型より三倍速い「シャア専用ザク」ではないが、「学校専用ガンダム」の潜在能力は高い。松橋さんは「予想以上の反響があった。家に持ち帰って家族で楽しんでくれれば」と期待した。
 文・小松田健一/写真・木口慎子
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