衆院選静岡 6区「渡辺王国」なぜ崩れた 地元への姿勢、票差に 勝俣さんと密着度に違い

2021年11月4日 07時14分

悲願の静岡6区で当選し支援者と喜ぶ勝俣さん

 衆院選で敗れた立憲民主党の枝野幸男代表が、辞任表明した。枝野体制で要職を務める静岡6区の渡辺周さん(59)も、自民党の勝俣孝明さん(45)に屈した。比例復活で議席を守ったが、初めて小選挙区での敗北。衆院議員や沼津市長を務めた父の代から続く「渡辺王国」が崩された。自民や野党系市議は「立民の政策や野党連携への不信感だけではない。候補者がどれだけ地元を重視し『どぶ板』ができたかの差だ」と口をそろえる。(渡辺陽太郎)
 二〇一二年の初対決で約一万二千票あった二人の差は一七年、六百三十一票にまで縮まった。比例復活が続いた勝俣さんは今回、約四千四百票差で悲願の小選挙区勝利を果たした。自民が強い伊豆半島では一市を除き全勝。大票田の沼津市と清水町、長泉町では敗れたが、一市二町の票差は前回から約千票縮めた。
 「地元のため何をしたか分からない。顔も見えない。小選挙区勝利を目指す現職の姿ではなかった」。勝俣さんを支援したある自民市議は、渡辺さんの四年間をこう振り返る。
 勝俣さんは小さな行事にも顔を出し、選挙区を歩き回って有権者と対話を重ねた。今年七月の豪雨で沼津市と清水町にかかる黄瀬川大橋が一部崩落した際もすぐに、党幹部を引き連れ現地を視察。橋は翌月末に仮橋で通行可能となった。「どぶ板で顔を見せる。地元の課題にすぐ反応し、見える形で解決に向け努力する。勝俣はその二点で相手に勝っていた」と自民市議。
 渡辺さんを支援したある野党市議も「地元密着という点では、相手が勝っていただろう」と認める。父の代から続く後援会は高齢化が進み、渡辺さんも党役員や県連代表の職務で、かつてほど地元での活動ができなくなっていた。野党市議は「危機感はあった。それでも(候補を擁立していない)共産票を加えれば、勝てるとも思っていた。だが負けてしまった。従来の支持者の一部が離れてしまったのだろう」と肩を落とす。
 共産党との協力を嫌った労組や支持者が離れ、有力労組への顔見せが不十分だったことなどの指摘もあるが、野党市議は「熱心な労組は今回も支持してくれたと思う。大きな敗因ではない」と分析する。候補者自身の地元での活動に加え、支える市町議員の数も自公に比べ少ない。「市町で十分な勢力を確保できない、自分たちの責任でもある」と話す。
 比例復活を受け渡辺陣営幹部は「後援会が健在だからこその復活だ。ただ、このままでは駄目だ。新たな支持者や組織もつくっていかなくてはいけない」と今後を見据える。勝利した自民市議も「相手の後援会はまだ脅威だ。沼津などでは負けた。完全な勝利ではない」と、さらなる攻勢を誓う。
 野党は地元で活動を見直し、市町での勢力拡大を目指す。だが野党市議は「共産と連携しないと、次回は候補を立ててくるだろう。そうなると、もう勝てない状態だ。連携すれば不信感も持たれる。立て直しには課題が多い」と苦悩をにじませた。

小選挙区で敗れ、比例復活した渡辺さん(左)=いずれも沼津市で


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