<戦い終えて>検証衆院選(上)野党共闘 共産色が分けた明暗

2021年11月4日 07時14分

初の選挙区敗北が確実になり、集まった支援者に敗戦の弁を述べる中村喜四郎氏=10月31日、境町で

 「こっちは今、自公の総攻撃に遭っている。君もつらいだろうが、一緒に国会に行って、この国を根本的に変えよう」
 選挙戦の真っただ中、茨城7区の議席死守を目指す立憲民主党の中村喜四郎から、1区で国政復帰を期す無所属の福島伸享(のぶゆき)に激励の電話が入った。
 ともに「党より人物(人)」を掲げ、オートバイで選挙区を走り回るスタイルも似ていた二人。だが自民党候補との激戦の末、福島は競り勝ち、中村は選挙区で敗北(比例復活当選)。明暗が分かれた。
 保守系無所属として無類の強さを誇り「無敗の男」の異名も取った中村は今回、初めて野党の公認候補に。共産党も候補擁立を見合わせ、側面支援した。一方、過去三回は中村を推薦した公明党が、今回は自民党の永岡桂子の推薦に回った。
 中村は、自民の参院議員だった父母の代からの後援会「喜友会」の結束力を背景に、公報やポスターには党名を書かず個人を前面に出したものの、街頭演説で使うトラックの荷台には全国の立民候補の百枚以上のポスターがずらり。共産幹部のポスターも貼られ、中村自身も紛れもなく「野党共闘」の候補であることを印象付けた。
 喜友会の古参会員には「立民が好きになったわけではないが、党より人だ」と野党入りを意に介さない人もいた半面、「この地域には合っていない」と戸惑いの声も上がった。
 共同通信の投開票日当日の出口調査によると、自民支持層で中村氏に投票したのは三割弱、公明党支持層では三分の一。なお自公票の一部を押さえるも、永岡を支える自民県議は「街頭演説に今まで見たことのない公明の人たちが来ていた」と手応えを感じていた。
 結果は前回を約七千票下回り、過去最低得票。新たに立民支持層の約八割、共産支持層の九割弱を開拓したとはいえ、目減りした自公票を補えなかった。公示直前に参戦した日本維新の会の候補に、政権批判票の一部を奪われたのも響いた。
 陣営関係者は「自民から『立憲共産党』のレッテルを貼られ、支援者に『屋号は違う』と説明しきれなかった」と悔しさをにじませた。
 対照的なのが、比例復活の可能性を捨て無所属の道を選んだ福島だ。立民の「友情支援」(立民県連幹事長の小沼巧)をはじめ、共産や国民民主党の実質的な応援を取り付けつつ、医師会や農協、商工会議所などの保守地盤に食い込んだ。
 事実上は共産も乗っかった野党共闘候補であるにもかかわらず、「反共」層を警戒させない戦術に、ある自民県議は「福島さんはうまくやった。受かればどう寝返っても良いわけだから」とやっかんだ。
 5区で初めて選挙区の議席を勝ち取った国民の浅野哲(さとし)も、その意味で「勝者」だった。選挙区の東海村に立地する日本原子力発電東海第二原発の再稼働を巡るスタンスの違いから、共産も独自候補を立てる中で、堂々と白星を挙げた。
 選挙戦では、日立市長や東海村長ら地元首長が応援に駆け付け、自公票の一部も流れた。陣営関係者は「共産票をもらえたら楽だと思ったが、逃す票の方が多かったかもしれない」と胸をなで下ろした。
 投開票日前日に5区入りした国民代表の玉木雄一郎は、こう強調した。「共産が立てたところで勝つことが重要。みんなとにかく共産とやればいい、それしか道はないというが、その先に未来はない」(敬称略)
 ◇
 丸四年ぶりとなった衆院選で、県内七選挙区は自民党が五勝二敗とし、議席を減らしつつも底力を見せつけた。一方、立憲民主党は四選挙区で共産党などとの「野党共闘」に持ち込んだかいもなく全敗。来夏の参院選に向け課題を残した。与野党の選挙戦を振り返る。 
衆院選2021
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