<財徳健治のマリノス・ウオッチング>進歩したが、川崎に届かなかった…

2021年11月5日 07時33分
 勝ち続けることでしか逆転優勝への望みのなかったマリノスが3日のG大阪戦に敗れ、川崎が浦和と引き分け、4試合を残して川崎の連覇が決まった。
 観客数の上限が緩和され、今季Jリーグ最多の2万1528人が集まった日産スタジアムにはサポーターの落胆が広がった。「やはり、届かなかったか…」
 常に先を行く川崎を追いかけたシーズン。ターニングポイントは勝ち点1差に迫って迎えた8月28日の鹿島戦だったか。守備の要、CB畠中槙之輔が試合途中で左太ももを痛め、全治6カ月の重傷を負い、14試合ぶりの敗戦。この試合以降、3勝1分け4敗と追撃の足取りは急激に鈍った。
 「チームとしての力が足りなかった。川崎は主力の移籍やけがで選手が抜けても勝ち点を重ねたが、自分たちは勝ち点につなげられなかった」とMF扇原貴宏。チームの危機であとひと踏ん張りが利かなかった無念がのぞく。それはG大阪との試合にもあった。
 圧倒的にボールを保持し、攻勢をかけながらゴールを奪えず、逆にワンチャンスをものにされた。取材ノートを見ると「攻めてはいるが雑。焦らず、丁寧にフィニッシュに持ち込むことがカギ」とメモしている。攻勢で気持ちの高まる中、どこかに冷静さがあればゴールに結びついたのではないか。状況に応じて意思を統一、リードするリーダーの存在が必要なのだろう。
 マスカット監督は「内容より勝つことが大事だという状況は分かるが、より大事なことは、内容を勝ちに結びつけること」と話した。方向性に間違いはない。
 優勝はならなかったとはいえ、マリノスのここまでの戦いは十分に及第点に値する。34試合を終え、22勝6分け6敗、勝ち点72、得点70、失点32は、2年前に優勝した時の数字(22勝4分け8敗、勝ち点70、得点68、失点38)を上回る。進歩はした。だが、それ以上に強い相手がいた。雪辱を期すには願ってもない「V逸」だったということだ。
 12月4日の最終節にホームで川崎と対戦する。挑戦者の渾身(こんしん)の戦いを見たい。(スポーツライター)

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