「双葉に戻りたい。でも戻れない」 悔しい「あり地獄」 原発事故で避難の千代田さん 大震災復興イベントで訴え

2021年11月6日 07時27分

福島原発事故で避難者となり、「悔しい」と繰り返した千代田信一さん=千葉市で

 東日本大震災の被災者支援・復興応援イベント「縁joy・東北2021」が、千葉市中央区の複合施設・きぼーるで開かれた。2011年の震災発生時を振り返る写真などを展示。講演会では、東京電力福島第一原発事故のため福島県双葉町から避難し、現在は千葉市中央区で暮らす千代田信一さん(80)が「(双葉に)戻りたい。でも、戻れない」と訴えた。(保母哲)
 講演で「私たちは放射能難民」と切り出した千代田さんは、赤色のジャンパーを着ている理由を「心の中は怒りで真っ赤に燃えているため」と説明。福島原発建設当時を振り返りながら「原発は安全、電気代も安くなる、自然にもやさしい−と説得されたから、われわれは建設に賛成した。うそをつかれた」と東電などを非難した。
 原発事故から十年余がたった今も「『放射能がうつるから、あっちへ行け』と言われた子どもがいる」。自らも最近「避難に伴う補償金をもらったんだろ」と言われたことを紹介しながら、「補償金は満足できるような金額ではなく、双葉に戻れれば、すぐに返金する」と語気を強めた。
 避難先で病気になったり自殺した人がいたことにも言及しながら「悔しい」と繰り返した千代田さん。悲劇から何十年たっても苦しむ人がいるとして、原発事故のほか、広島・長崎への原爆投下、水俣病を「日本三大あり地獄」と表現した。
 民謡が好きで、「福島慕情」と題した歌を自作していることから、講演の最後には「アーア帰りたい帰れない 想(おも)い届けよイヤーイー古里へ」と歌声を響かせた。
 今回の復興応援イベントは、ちば市民活動・市民事業サポートクラブが事務局となって開催。展示会は今月二〜五日に開かれ、講演会などは三日に実施した。
 双葉町の実家が被災した箏奏者の大川義秋さん(25)の演奏会や、浪江町を拠点に練習している、よさこいグループ「Wonderなみえ」の演舞などもあった。このグループは約百人で活動していたが、原発事故で避難者が相次いだため現在のメンバーは十数人。この日のイベントのため、福島県内各地や茨城県などから駆け付けた。

関連キーワード


おすすめ情報