名古屋大医学部生のゲノム研究論文、著名学術誌に掲載 がんの病態解明の可能性

2021年11月6日 11時35分

「EMBOジャーナル」の電子版を見せる河地利彦さん=名古屋市の名古屋大で

 名古屋大医学部6年の河地利彦さん(24)が中心となって執筆したゲノム(全遺伝情報)研究に関わる論文が、欧州分子生物学機構が発行する学術誌「EMBOジャーナル」(電子版)に掲載された。指導に当たった教員は「今回掲載されたのは、研究者でも論文が載ればうれしいと思うほどレベルが高い学術誌。学生の掲載は類いまれな、快挙だ」と称賛。河地さんは「今はほっとしている」と笑顔で話す。(白名正和)
 生物の体内で必要なタンパク質が作られる際、DNAの遺伝情報は、伝達役となるリボ核酸(RNA)に転写(コピー)される。遺伝情報は「エクソン」と呼ぶ複数の領域に存在し、分断されているが、RNAにコピーされる時、遺伝情報がない部分が切り離され、複数のエクソンが一つにつなぎ合わされる。
 エクソンの長さはさまざまだが、河地さんは長い領域に着目して研究。世界中の研究者が解析したRNAの情報が記録されたデータベースを基に詳細に分析した。その結果、「SRSF3」という遺伝子が、長い領域のつなぎ合わせを進める役割があると突き止めた。SRSF3は「がん遺伝子」として知られ、研究が進めば、がんの病態解明につながる可能性があるという。
 河地さんは愛知県岩倉市在住。1年生の6月から大野欽司(きんじ)教授(神経遺伝情報学)の研究室に入り、2年生の冬からエクソンの研究を始めた。指導した増田章男准教授(神経遺伝情報学)は「膨大なRNA情報のうち、どこに狙いを定めるか、視点が非常にしっかりとしている」と河地さんを評価。解析する際のコンピュータープログラムも河地さんが自ら考え出したという。
 EMBOジャーナルへの掲載が決まったのは9月中旬。「良かった。頑張ったかいがあった」と河地さん。「今後は、直接的に病気の原因解明に役立てる研究をしたい」と意気込んでいる。

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