岸田首相、核燃料サイクルへの認識の甘さ露呈 「止めるとプルトニウムが積み上がってしまう」

2021年11月7日 06時00分
岸田文雄首相

岸田文雄首相

 政府が原発の核燃料を繰り返し使えるかのように宣伝してきた「核燃料サイクル」政策は破綻が明らかにもかかわらず、巨額が投じられ続けている。(小川慎一)
 9月の自民党総裁選ではその是非が争点となったものの、政策の維持を主張した岸田文雄首相は討論会で図らずも認識不足を露呈した。
 日本の原子力政策の柱である核燃料サイクルは、事実上首相を決める自民党総裁選で話題となった。立候補した河野太郎前行政改革担当相が「再処理を止めるのは1日も早い方がいい」と中止を訴えたからだ。
 9月18日、東京・内幸町の日本記者クラブであった自民党総裁選の4候補による討論会。この場でも河野氏は核燃料サイクルについて「再処理してもプルトニウムの使い道がなかなかない」と中止を主張した。
 一方、岸田首相は「核燃料サイクルを止めるとプルトニウムがどんどん積み上がってしまう」と発言。日本は核兵器保有国以外で唯一、核兵器の材料となるプルトニウムを所有して核燃料サイクルを推進しており「外交問題にも発展する」と懸念を示した。
 だが、実際は逆だ。再処理でプルトニウムを取り出さなければ量は増えず、積み上がることはない。
 現行計画では、取り出したプルトニウムはウランとの混合酸化物(MOX)燃料にする。この核燃料を使う「プルサーマル発電」ができる原発は現状4基で、プルトニウムの消費量が少ない。日本はプルトニウム約46トン(英仏保管分約37トン)を保有し、既に積み上がっている状態だ。この削減が最優先だ。
 日本原燃再処理工場(青森県六ケ所村)は建設費だけで3兆円超と、既に当初の4倍に。これを含めて核燃料サイクルには消費者が支払う電気代を通じて16兆円が投入される計画だが、実現が見通せない中で費用は膨らみ続けている。

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