密室の電車内で凶行から身を守るには? 京王線刺傷事件から1週間

2021年11月7日 06時00分

炎が上がる特急電車内と逃げる乗客=10月31日、東京都調布市で(木村俊介さん提供、一部画像処理)


 走行中は密室となる電車内。乗客が凶行から身を守るにはどうしたらいいのか。鉄道のセキュリティー対策に詳しい公益財団法人「公共政策調査会」(東京都千代田区)の板橋功・研究センター長(61)は「車内では周囲に注意を払い、まずは不審者と距離を空けることが重要だ」と強調する。
 30年以上にわたりテロ対策を研究する板橋さんは、手荷物検査がなく不特定多数の人が出入りする電車は標的になりやすいとして「悪意を持った人でも利用できる場所という認識を持ってほしい」と注意を促す。
 凶行時には不審者との距離をしっかり空けることを意識する。普段から不審者がいないか周囲をしばしば見渡すことが、身を守る鍵となる。
 イヤホンで大音量で音楽を聴いたりゲームなどスマートフォンに夢中になったりして周囲の情報を遮断するのはリスクが高く「車内の変化に気付くのが数十秒遅れるだけで、生死が変わる場合もある」と指摘する。

「密室の電車内は安全な場所ではない」と話す板橋功さん

 日本は治安が良いためにそもそも警戒心が薄いという。2004年にスペイン・マドリードで、05年に英国・ロンドンで列車爆破事件があった欧州では「乗客は一定の警戒心を持っている」と説明する。
 板橋さんは、1995年の地下鉄サリン事件の直後の東京を振り返り、「誰もが駅や車内で不審者や不審物がないか目を配っていた。命を失う『まさか』が電車で起きることを頭の片隅に置いてほしい」と呼び掛ける。
 一方、鉄道会社に対しては、7月から乗客の手荷物を検査できるようになったことを踏まえ、「車内放送や駅案内で『手荷物を見せてもらう場合がある』と知らせるだけでも一定の抑止力になる」と提言する。
 今回の事件では車内に防犯カメラがなく、非常通報ボタンが押されたが、容疑者から逃げる最中の乗客と車掌が連絡を取れなかったという課題も浮かんだ。
 板橋さんは「防犯カメラは確信犯には抑止力にならない。ただ、車内で何が起きているかを車掌や運行指令室が素早く把握できれば、鉄道会社や警察が適切な対策を取りやすい」と設置の有効性を訴える。

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