ミャンマー民主派、国軍との武力衝突止まらず 戦闘2カ月、幼児ら死者多数

2021年11月6日 21時44分

ミャンマー北西部チン州タントランで10月下旬、国軍の砲撃により激しく煙を上げて炎上する民家=地元メディア「The Chindwin」提供

 【バンコク=岩崎健太朗】国軍がクーデターで政権を奪ったミャンマーで、武力衝突が収まらない。民主派の「挙国一致政府(NUG)」が「防衛のための戦闘開始」を宣言して2カ月となり、双方の攻撃の応酬が続いている。
 北西部チン州タントランでは10月下旬、市街地の住宅や教会が炎上し、煙が立ち上る様子がソーシャルメディアで広がった。地元メディアによると、国軍の砲撃で160軒以上が焼失。9月の弾圧で住民の8割ほどがインド国境に逃れて不在だったため、火が燃え広がり、残された市民が焼け出されたと伝えた。

ミャンマー北西部チン州タントランで11月初め、国軍の砲撃により焼き払われた市街地=地元メディア「THE CHIN JOURNAL」提供

 チン州では、少数民族武装勢力や住民が結成した「チンランド防衛隊」が激しく抗戦。国軍は部隊の増派を繰り返し、掃討作戦を展開している。
 米国務省は声明で「こうした忌まわしい攻撃は、国軍への武器供与を含め、深刻な人権侵害を防ぐ国際社会の喫緊の行動が必要だと明示している」と非難。国軍の報道官は「テロリスト(民主派)が逃げる際に火を放った」と反論した。
 NUGは9月7日に「民主主義を回復するためにあらゆる手段を用いる」として、市民にあらためて抵抗を呼び掛けた。住民単位の各地の防衛隊が呼応し、国軍系の通信施設や鉄道などインフラ設備を爆破。国軍は戦闘が激しい中部マグウェや北西部ザガイン、チン州でネットを遮断し、家屋に無差別に砲弾を浴びせるなど鎮圧を徹底している。
 双方に死傷者が相次ぎ、NUG側は9月の戦闘で国軍兵士760人以上を死亡させたと主張。国軍の報復による巻き添えも増えているとみられ、現地の人権団体によると9~10月の2カ月間に幼児を含む無関係の180人が犠牲となった。2月のクーデター以降の市民の死者は1240人超に上っている。
 現地情報によると、ヤンゴンなど都市部では日常を取り戻しているように見えているが、今月4日には、軍出身で国軍系の通信会社幹部が自宅近くで何者かに銃殺された。ヤンゴンの男性(55)は「防衛隊のメンバーは、普通の市民に紛れてゲリラ攻撃を加えられるので効果的だ。それに伴い、国軍の取り締まりもいっそう無差別になっている」と話した。

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