コロナ禍でテレワークが進んだのに…震度5強の地震で通常勤務も 専門家「企業の有事対応を見直す契機」

2021年11月9日 06時00分
JR川口駅(左)に入るため、駅前で列を作る人たちであふれた=10月8日、埼玉県川口市で、本社ヘリ「おおづる」から

JR川口駅(左)に入るため、駅前で列を作る人たちであふれた=10月8日、埼玉県川口市で、本社ヘリ「おおづる」から

 先月7日深夜に首都圏を襲った最大震度5強の地震から1カ月が過ぎた。コロナ禍でテレワークが進んだはずなのに、地震翌朝は鉄道網の乱れで各地の駅に通勤客らの行列ができた。一方、有事の計画をあらかじめ準備していたおかげで、混乱を回避できた企業も。専門家は「企業が有事対応を改めて見直す契機だ」と指摘する。(嶋村光希子)
 「翌日の出勤をどうするか、社からは何の連絡もなく出社せざるを得なかった」。東京都渋谷区の建設会社の総務部門で働く30代男性は振り返る。
 地震発生は10月7日午後10時41分ごろ。残業中だった男性は、鉄道の運休や遅延に巻き込まれながら、翌午前1時に帰宅した。会社から連絡はなく、翌朝も鉄道ダイヤが乱れる中、通常通りに出社した。
 団体職員の50代女性も普段の3倍の時間をかけて出勤した。職場から通常勤務を求められたためだが、「テレワークできればどんなに楽だったか」と振り返った。
 一方、三井住友海上火災保険では一部社員が自宅待機かテレワークに切り替えた。BCP(事業継続計画)と呼ばれる有事の計画で、震度5強以上の地震が起きた際、その都道府県の拠点に所属する社員は原則、48時間以内は在宅勤務または自宅待機とすると定めているためだ。広報担当者は「今回も大きな混乱なく適用できた」と話す。
 BCPは災害やテロ、システム障害など危機的な状況でも、重要な業務が続けられるように企業が策定する計画。東日本大震災の時に注目が集まったが、策定している企業は多くない。1万1000社を対象にした帝国データバンクの5月調査では、BCPのある企業は17・6%にとどまる。
 企業のBCP策定をサポートするみずほリサーチ&テクノロジーズには、今回の地震を機に「BCPを充実させたい」との相談が相次いでいる。上席主任コンサルタントの鈴木大介氏は「災害でモノが壊れるといった想定だけでなく、従業員が出勤できなくても事業を続ける想定が求められる」と指摘する。

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