無登録で仮想通貨の運用に出資募る 月利8%約束「マルチ商法」で650億円集金か 容疑の7人逮捕

2021年11月10日 11時30分
 国の登録を受けずに暗号資産(仮想通貨)の運用への出資を募ったなどとして、警視庁生活経済課は10日、金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで、会社役員玉井暁容疑者(53)=東京都世田谷区駒沢1=ら7人を逮捕したと発表した。
 同課は、玉井容疑者らが2019年以降、「ジュビリーエース」「ジェンコ」などの会社を名乗り、仮想通貨などを運用し必ずもうかると宣伝、「マルチ商法」を展開し、若者を中心に全国から約650億円を集めたとみて調べる。
 同課によると、玉井容疑者らは19年3月ごろからセミナーを開き、ジュビリーエースの会社名で出資を募った。同じ仮想通貨の価格差を利用して売買し、利益を獲得する取引手法「アービトラージ」を使って必ずもうかるなどと宣伝。元本保証と月8%などの配当を約束し、知人を勧誘すれば紹介料が入るマルチ商法で出資者を増やした。
 出資者に対して、運用状況をサイト上で確認でき、いつでも出金できると説明していたが、20年11月ごろから出金ができなくなったという。
 逮捕容疑では、20年6月~11月、国の登録を受けずに都内などの男女6人に仮想通貨の出資を勧誘し、金融商品取引業を営んだとされる。同課は7人の認否を明らかにしていない。

◆被害者 豪遊写真見せられ110万円渡す

引き出せなくなった「ジェンコ」の専用サイトを見せる元自衛官の男性

 「仮想通貨のことを本当に理解している人は少ししかいない。チャンスはあなたたちの前にある」。福井県の30代の男性会社員が2019年秋、福井市内のホテルの1室で開かれた「ジュビリーエース」のセミナーに参加すると、「リーダー」の男が熱弁を振るった。
 最初は怪しいと感じつつ、実際にもうけたと紹介してきた先輩のフェイスブックには、海外で豪遊する写真が掲載されていて心を動かされた。セミナーの後、「1万ドルコース」で1ドル=110円の計算で、110万円を指定口座に振り込んだ。
 専用サイトに、毎月8%の配当が表示され安心していたが、昨年10月に出金ができなくなった。出金の申請をしても「処理中」と表示されるだけ。先輩の態度もつれなくなった。「借金までして出資した人もいると聞く。責任を追及したい」
 埼玉県在住の元自衛官の20代の男性は「ジェンコ」に投資した110万円が引き出せなくなった。
 自衛官の後輩に誘われ、昨年11月にセミナーに参加。約20人が集まったカフェで若い男が「AI(人工知能)で自動的に最適な利益を出すようプログラミングされている」「システムは(中国の)アリババ集団が興味を持っていて、200億円で買い取りたいという話がある」と熱心に勧誘した。
 半信半疑だったが月利8%の「1万ドルコース」に入り、110万円を手渡した。1カ月もたたないうちに出金できなくなった。変動が激しい仮想通貨への投資経験があったため、8%の高利もあり得ると考えてしまったことを悔やむ。「社会経験がない若い人が狙われたのか。高すぎる勉強代だ」(佐藤大)

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