【独自】「軽い気持ちで賭けマージャン続けた」…黒川元東京高検検事長が後悔の供述 刑事裁判記録が本紙請求で開示

2021年11月11日 06時00分

黒川弘務・元東京高検検事長

 在職中に知人の新聞記者ら3人と賭けマージャンをしたとして、今年3月に東京簡裁から賭博罪で罰金20万円の略式命令を受けた黒川弘務・元東京高検検事長(64)が、東京地検特捜部の捜査に対し「違法な行為であることは当時も分かっていたが、軽い気持ちで賭けマージャンをした」と供述していたことが、本紙の請求で開示された刑事裁判の確定記録で分かった。(小沢慧一)

 黒川元検事長を巡る問題 政府は2020年1月に黒川氏の定年を半年間延長する閣議決定をし、検事総長就任を可能にしたが、前例がなく「違法な人事だ」との批判が国会で噴出。検察官の定年を延長できるようにする検察庁法改正案にも後付けとの反発が広がり、成立が見送られた。その直後、週刊文春が賭けマージャン疑惑を報道し、市民団体などが黒川氏を刑事告発。東京地検は一度は不起訴にしたが、検察審査会の「起訴相当」議決を受けて今年3月、黒川氏を略式起訴。東京簡裁が罰金20万円の略式命令を出した。

◆詳しい説明しないまま表舞台から姿消す

 黒川氏は辞職の際、「私の行動は軽率にすぎるもので猛省している」などの短いコメントを出したのみで、事件は非公開の略式裁判で終結。公の場での本人の詳しい説明はなかった。
 黒川氏の供述調書によると、今回の記者らとは旧知の仲で、2019年の検事長就任後は、記者の自宅に月3、4回集まった。「『点ピン』という高くはないレートで、接待マージャン的な要素もなく、仲間内の娯楽の延長という感覚でいた」と供述した。
 一方、取材対象者とマスコミという関係上、対等ではなく「私を中心とした会合の側面もあった」とし、帰宅時に記者のハイヤーに同乗し、取材の場を提供していたことを認めた。「私が賭けマージャンをやめようと言えば3人は応じたはず」と説明し、「軽い気持ちで続けたことを大変後悔し、反省している」と述べている。
 記者側の調書によると、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言下での賭けマージャンに、記者らは「黒川さんもストレスを感じているのだな」「賭けマージャンくらい付き合ってあげてもバチは当たらないよな」などと言って参加していたという。

◆政治家からの事件捜査巡る働きかけは否定

 黒川氏は当時の政権と近いと言われ、「定年延長問題」では検察と官邸との関係に疑念が持たれた。この点について、黒川氏は供述調書で「官邸をはじめ、政治家から個別事件の検察権行使に働きかけを受けたことはなく、私自身が検察に対して、個別事件に口を出したことは一切ない」と強調している。
 事件報道後、誹謗ひぼう中傷の手紙が届くなどの嫌がらせが続いたことも説明。今後は「弁護士として社会に尽くしたい」と明かしつつ、当面は「自らへの戒めのため控える」とした。「晩節を汚す結果となった」「国民の信頼を大きく損なうことになり、法務検察を愛していた者として慚愧ざんきの念に堪えない」と言及した。
 本紙は今年4月、黒川氏に関する刑事裁判記録の閲覧を東京地検に請求。昨年6~7月と検察審査会の「起訴相当」議決後の2~3月の取り調べに基づく黒川氏の供述調書7点のほか、記者らの供述調書、現場写真など約200枚分の記録が今月初めに開示された。
 本紙は黒川氏に取材を申し込んでいるが、10日午後10時半現在、回答は得られていない。

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