不支給の線引きの根拠は…18歳以下が対象の給付金10万円、コロナで打撃を受けた大学生はもらえず

2021年11月11日 06時00分
 18歳以下への10万円相当の給付を巡り、自民、公明の与党は年収960万円の所得制限を設けることで合意した。給付の目的や年齢、年収で線引きされる根拠など、曖昧な点は残されたまま。生活困窮者への現金給付、マイナンバーカードの新規取得者へのポイント付与と合わせ、両党の衆院選公約を混ぜ合わせたような大規模な経済対策になるが、本当に必要な人たちに支援が行き渡るかは見通せない。(村上一樹、木谷孝洋)

◆ばらまき批判の懸念

 衆院選で18歳以下への一律給付を公約した公明党の山口那津男代表は10日、岸田文雄首相との合意を受け、所得制限に関し記者団に「(一律に比べ)ほぼ9割が対象になるので、大きな分断を招かない」と強調した。
 公明党は直接給付へのこだわりが強く、コロナ禍の昨春も全国民への一律10万円の特別定額給付金を主張し、実現の原動力になった。今回の給付金に対し、自民党側にはばらまき批判への懸念から「自民と全く違う内容の公約」(幹部)との慎重論もあったが、モデルケースで960万円の所得制限を設けることを提案して折り合いを図った。

◆公明党議員「分断を生んでしまう」

 だが、議論開始から決着までは、わずか3日間。一律でなく年収960万円にした根拠は、既存の児童手当が満額支給される水準と同じということだけだ。
 新たに対象の線引きをする必要がなく「迅速な給付」を条件に挙げた公明党側が受け入れやすかったためで「結論ありき」の印象は否めない。子どもがいない世帯などは対象外で、ある公明党議員は「18歳以下と19歳以上という分断を生んでしまう」と懸念する。
 「10万円相当」の額は、昨春の特別定額給付金と同じ。同給付金は7割が貯蓄に回ったとの分析があり、経済対策としては限定的だったとも指摘される。与党は今回、現金を5万円、残りの5万円分を教育用のクーポンとすることで消費を促したい考えだが、長引くコロナ禍で国民の意欲が高まるかは不透明だ。

◆経済効果もはっきりせず

 もう一つの給付策の柱である住民税非課税世帯への10万円支給は「非正規雇用者、女性、子育て世帯、学生らへの経済的支援」という自民党公約を具体化した内容。衆院選で自公の支援策の力点は異なっていたことになるが、与党協議でいずれも採用した。生活困窮者の支援という点では、非課税世帯より少し収入が多い低所得層への手当てをどうするかが課題になる。
 マイナンバーカード取得者らに最大2万円分のポイントを付与する事業は、コロナ対策との関連は薄い。政府は昨年、カード取得者に5000円分のポイントを付与して普及促進を図ったが、個人情報の一元化や管理に不安がある国民も多く、今年11月1日時点での普及率は39・1%止まり。経済対策より「カード普及のためのばらまき」(立憲民主党幹部)の側面が強い。
 日本維新の会の馬場伸幸幹事長は10日の記者会見で、与党合意は経済効果が不透明だとした上で「(有権者に)衆院選のお礼をしているようにも見える」と指摘した。

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