ポイント制でマイナンバーカード普及?…まるで携帯会社のキャンペーン、何のための給付金

2021年11月11日 12時00分
 先の衆院選で、コロナ禍対策として与野党各党が公約として訴えていた「困窮者や若者への給付金」。しかし、ふたを開けてみると、またぞろ迷走中だ。一律のはずが所得制限を付けたり、わかりにくいポイント制でマイナンバーカード普及を狙ったり。ちょっと待ってほしい。こういう給付金で、本当に今すぐ困っている人に届くのか、足りるのか、趣旨はおかしくないか。(宮畑譲、石井紀代美)

今年7月に行われた困窮者向けの炊き出し=東京都豊島区の東池袋中央公園で

◆「19、20歳も困っている。非正規漏れる恐れも」

 「今回の給付は子育て支援なのか、困窮対策なのか、マイナンバーカード普及が目的なのか曖昧で、趣旨がぼやけてしまっている」
 困窮者を支援する一般社団法人「つくろい東京ファンド」の稲葉剛代表理事はこう語る。コロナ禍後、炊き出しに訪れる人は増え続け、リーマン・ショックを上回るほどだという。「コロナ禍で貧困の現場は深刻化している。もっと早い段階で手を打つべきだった。一律給付には批判もあるが、高額所得者には後で税金で返してもらえばよい」と主張する。
 今回は18歳以下の子どもが対象だが、「19、20歳でも困っている人はいる。同じように困窮している学生でももらえる人ともらえない人が出てくる」と稲葉さん。さらに、住民税非課税世帯への一律10万円の給付金は「東京23区では単身なら年収100万円程度以下が対象で基準が厳しすぎる。年収2、300万円の非正規労働者らは外れてしまう。それなら、生活保護や住居確保給付金など既存の制度を拡充するべきだ」と訴える。
 子どもへの給付は公明が衆院選前から訴えてきたが、連立を組む自民とは齟齬があった。公明は18歳以下の子どもに一律10万円を支給する「未来応援給付」を公約。しかし、「ばらまき」批判を懸念する自民は生活困窮者に絞る考えで、高市早苗政調会長も「本当にお困りの方に経済支援をするという政権公約を作った。そうでない方に支援をするということは書いてない」とけん制していた。

◆「クーポンは高コスト 配られるのもずいぶん先」

 10日には、岸田文雄首相と山口那津男代表がトップ会談。親の年収が960万円以上の子どもは給付対象から外れることで合意した。額は10万円「相当」の給付で、年内に現金5万円を先行給付し、来春に5万円分のクーポンを支給する見通しだ。また、マイナンバーカードの新規取得時などに段階的に最大2万円分のポイントを付与することも確認された。
 この決着に生活困窮者を支援するNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の大西連理事長は「一律給付で大人の困窮者にも現金を届けてほしいのが前提だが、クーポンが理解できない。事務コストは膨大で、配られるのもずいぶん先。この年末をどう乗り切るかという人への緊急の対策にならない」と話す。
 衆院選前後を振り返れば、立憲民主党は「住民税非課税世帯をはじめとする低所得者への年額12万円の現金給付」、日本維新の会は一律に現金を給付する「ベーシックインカム」の導入を訴え、国民民主党は「全ての国民への一律10万円の現金給付」、共産党は「1人10万円を基本に『暮らし応援給付金』を支給」と、それぞれ訴えていた。

参院本会議で所信表明演説をする岸田首相=10月8日、国会で

 そうした各党の姿勢に応じてか、岸田首相も10月8日の所信表明演説で「非正規、子育て世帯などお困りの方々を守るための給付金などの支援も実行していきます」と述べており、この言葉通りならば、今回、自公で決着した方針よりもっと広い層に給付金が行き渡る、と有権者が考えるのは当然だ。
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