PCR検査、学生給付金、災害救助法 野党提案に政府ゼロ回答 衆院予算委

2020年4月29日 10時32分
 与野党は二十八日の衆院予算委員会で、新型コロナウイルスの感染拡大に対応する二〇二〇年度補正予算案を巡り論戦を交わした。立憲民主党の枝野幸男代表は政府による感染拡大防止策や生活支援は不十分だとして、代替策を相次いで提案した。対する安倍晋三首相ら政府側は受け止める姿勢を見せなかった。野党側は補正予算案の早期成立に協力する方針だが、与野党が感染拡大防止や経済対策を超党派で進める機運は高まらなかった。(木谷孝洋、横山大輔)

■PCR検査見直し踏み込まず

 「第二次世界大戦後、最も深刻な危機の中にある。難局を乗り切るために協力を惜しまない」。枝野氏は質問の冒頭で対決姿勢を封印した。その上で、まず取り上げたのはPCR検査を巡る問題だ。
 厚生労働省は感染の可能性がある人が受診や相談をする目安として「三七・五度以上の発熱が四日以上続く」といった基準を示している。枝野氏は、必須ではないこの条件が独り歩きし、患者がなかなかPCR検査を受けられず、手遅れになった事例もあることに触れ「基準が形式的すぎる」と見直しを唱えた。
 加藤勝信厚労相は「受診の目安が逆の意味で使われているという指摘もある」と発熱が四日続かないと検査を受けにくい実態を認めた。それでも、運用見直しには踏み込まず「状況を踏まえて柔軟に判断するよう通知した」と説明。首相も「PCR検査の対応能力を(一日)二万件まで上げたい」と述べるにとどめた。

■困窮大学生らへの支援も

 生活支援に関しても、政府側は野党側の提案を取り合わなかった。
 枝野氏は、金銭的に困窮する大学生らへの支援に中小企業や個人事業主向けの持続化給付金を適用すべきだと主張。事業収入が前年から半減した場合、中小企業に最大二百万円、個人事業主に最大百万円を給付する制度だ。学費や生活費をアルバイトで賄う学生にも適用すれば、早期に支援できるというアイデアだ。
 首相は困窮する学生には給付型奨学金や雇用調整助成金で対応できるとし、授業料減免や納付猶予を大学に要請する考えも示した。
 補正予算案に盛り込まれた終息後に観光業や外食産業を後押しする「Go To キャンペーン」に関しても、首相は枝野氏の見直し要求を拒否した。

■首相の姿勢「平時と変わらず」

 安倍政権は憲法や法律の恣意的な解釈を繰り返してきたが、今回の危機に際しては現行法のフル活用に慎重だ。野党側が新型インフルエンザ等対策特別措置法の適用を促していたのに、特措法改正を経て緊急事態を宣言した経緯がある。
 枝野氏はこの日の審議でも、地震や豪雨発生直後の応急的な生活救援を定めた災害援助法を適用すれば、遠隔授業に必要な通信機器などの提供が可能になると提案。災害対策基本法に基づき、罰則付きの立ち入り禁止命令も可能になると述べた。これにも政府側は慎重な考えを示した。
 枝野氏は質問後、首相の姿勢について「平時とあまり変わらなかった。『遅れているから、足りないからやりましょう』という提案に正面から向き合っていなかったことは残念だ」と記者団に語った。

関連キーワード

PR情報

政治の新着

記事一覧