「バリバラ『桜を見る会』」再放送差し替え NHKは圧力に屈したか

2020年4月29日 10時55分

NHKバリバラの番組ホームページから。28日午後でもまだ「26日再放送」と記載があった

 NHK・Eテレのバラエティー番組「バリバラ」の二十六日午前零時からの再放送が直前に別の回に差し替えられた。差し替えられたのは「桜を見る会」の痛烈なパロディーで、二十三日の初回放送時から安倍政権支持者らが猛反発していた。NHKは「圧力はまったくなかった」としているが、本当か。(稲垣太郎)

■「アブナイゾウ」首相が登場

 二十三日に放送されたのは「桜を見る会 バリアフリーと多様性の宴 第1部」。差別問題などに取り組む人たちが花見会場を模したスタジオに集い、「アブナイゾウ」首相が登場。「公文書 散りゆく桜と ともに消え」と一句詠み上げるところから始まり、「無愛想太郎」副総理が国会答弁するシーンもあった。性暴力被害を訴えるジャーナリスト伊藤詩織さん、民族差別に反対してきた在日三世の崔江以子さんらも会の参加者として出演した。
 この内容に、ツイッターなどでは「攻めまくった放送」「面白かったよ」と好評価の一方、番組公式ツイッターには「NHKなめとんのか?」「こんな番組作るために受信料払ってる訳ではない」などと批判が殺到。二十四日夕には自民党の小野田紀美参院議員が「この非常時にこんなもの作る時間があったら、今困っている国民が利用できる制度や申請の方法(全然報道されず)を1秒でも多く流すべきでは?」とツイートした。

■深夜に突然差し替え告知

 こうした批判があってもNHKは番組公式ホームページで記載している通り、同番組を二十六日午前零時から再放送するとしていたが、二十五日午後十一時半になって公式ツイッターで突然放送予定差し替えを告知。二日に放送した「新型コロナ“自粛”検討会議」を再放送した。
 この異例の経緯について、番組を制作したNHK大阪放送局の広報部は「圧力があったからではない。新型コロナウイルスの感染の現状を鑑み、障害者の立場から見た対策の番組をもう一度放送して伝えるべきだと判断した」と話す。電子番組表は公式ツイッターより前の三時間前に変えたとも説明したが、「差し替え判断の明確な時期は回答を差し控えたい。大阪放送局ではなく、NHKとして判断した」と話した。

■「森友」でスクープ記者外し

 ただ、NHKは、政治などからの圧力に弱い体質があるとされる。二〇〇一年には、従軍慰安婦問題を扱ったETV特集「問われる戦時性暴力」番組改変問題があり、森友学園問題ではスクープを連発していた大阪放送局記者の相沢冬樹さんを記者職から外した。かんぽ生命保険の不正販売を追及した「クローズアップ現代+(プラス)」の番組内容について日本郵政グループから経営委員会が抗議を受けると、当時の上田良一会長が郵政側に事実上謝罪し、続報が止まった。
 今回もそうした影響があったのか。NHK関係者はこちら特報部の取材に、「再放送中止は前日まで兆候らしいものはなく、大阪は寝耳に水で、東京からドンときたようだ。直接に圧力があったのかNHK上層部の忖度だったのか紙一重で分からない」と明かす。

■視聴者に対し説明責任を

 現在、大阪日日新聞記者の相沢さんは「放送する番組を差し替えるなら、とっくの昔に判断して周知していなければならない。疑念を招かないようにしなければならない」と指摘した上で、「NHKは報道機関として取材相手に説明責任を求めるのだから、視聴者にも納得する説明責任を果たす義務がある」と話した。
 市民団体「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」共同代表で、東京大名誉教授(会計学)の醍醐聡氏は「これまで番組を改ざんしたり、取材や制作したのに放送してこなかったこともある。大災害が起きたわけでもないのに直前に番組を差し替えるのは不自然。政権の圧力に屈した可能性は十分ある」とした。

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