<新型コロナ>対策 医療より消費 補正予算案審議入り

2020年4月28日 02時00分
 新型コロナウイルスの感染拡大に対応する緊急経済対策を盛り込んだ二〇二〇年度補正予算案に関する質疑が二十七日、衆参両院の本会議で行われた。安倍晋三首相は、全ての国民に現金十万円を給付する「特別定額給付金」について「五月中のできるだけ早い時期を目標に、(自治体に)給付を開始してもらうことになるよう準備を進めている」と強調した。補正予算案に関して、与野党は三十日に成立させる審議日程で合意している。(中根政人)
 政府が当初計画した減収世帯への三十万円給付を撤回して予算案を組み替えた経緯について、野党は「場当たり的な対応」などと批判した。
 首相は「もっと早くという批判は、私自身の責任としてしっかり受け止めなければならない」と釈明した。今後の追加給付については「事態の変化を十分注視する」と語った。
 中小企業に最大二百万円、フリーランスを含む個人事業主に最大百万円を給付する「持続化給付金」については「補正予算成立の翌日から申請受け付けをただちに開始する」とし、最速で五月八日にも給付を始めるよう対応するとした。
 野党は「持続化給付金が支給されても、とても事業を継続できない」とし、増額を強く求めた。
 首相は、大型連休中の国道の通行規制に関して「この週末の動向を見ると、海辺など行楽地への移動の状況は、国民の協力により相当程度減少している」と否定的な考えを示した。
 国内の感染状況に関しては「いまだ爆発的な感染拡大には至っていないが、地方への感染拡大がみられ、この闘いは長期戦を覚悟する必要がある」と説明。五月六日までを期限に全都道府県に発令している緊急事態宣言については「解除の可否は、専門家の提言もいただきながら判断したい」と話すにとどめた。
 補正予算案の歳出総額は二十五兆六千九百十四億円。特別定額給付金のほか、中小企業の資金繰り支援や医療体制整備の費用などが計上された。

◆遅れる検査拡充 専門家批判

 政府は二十七日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急経済対策のための補正予算案を国会に提出した。しかし、崩壊にひんする医療体制の増強策や医薬品開発など新型コロナ封じ込め対策より、実施時期も不明な終息後の消費喚起策に多額の予算を計上しており、専門家から疑問の声が続出している。
 緊急経済対策は五本柱。(1)感染拡大防止と医療体制整備、医薬品開発に一兆八千九十七億円(2)給付金など個人や事業者への経済支援に十九兆四千九百五億円(3)「Go To キャンペーン」など消費喚起策に一兆八千四百八十二億円(4)ITインフラの整備など経済構造の強化策に九千百七十二億円(5)今後に備えた予備費に一兆五千億円-を計上する。
 消費喚起策よりも少額に抑えられた医療対策費。半分以上を占める一兆円は地域の実情に合わせて利用できる地方への交付金で、自治体は休業した事業者への協力金にも転用できるため、医療に回る資金はさらに減る。
 梶山弘志経済産業相は二十四日の閣議後記者会見で、「終息後も見据えることで希望を持てるという意見もあったので(消費喚起の)対策をした」と言った。
 これに対して、NPO法人「医療ガバナンス研究所」理事長の上昌広(かみまさひろ)医師は「いま消費喚起策などを考える余裕があるなら、医療に回すべきだ」と厳しく批判する。国内ではPCRや抗体の検査を実施できる体制が手薄なため検査が遅れており「幅広い機関が診療報酬を受けて柔軟に検査できるようにすれば、もっと増えるだろう」と分析。「厳しい現場で闘っている医師や看護師らが辞めてしまっては元も子もない。特別な手当も出すべきだ」などと話す。
 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストも「新型コロナという火事を鎮火するのが先決なのに、消火対策より復興に多くのお金を積んだようなものだ」と指摘した。 (吉田通夫)

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