<新型コロナ>「自治体に丸投げ」乏しい数値基準に不満も 政府分科会のレベル新指標

2021年11月11日 22時00分
 政府の分科会が策定した新型コロナの感染状況を示す新たな「レベル」分類は、新規感染者数などを基準にした従来の「ステージ」分類と比べ、数値基準が大幅に減った。ワクチン接種により新規感染者増が医療逼迫ひっぱくに直結しなくなったという判断だが、自治体からは「基準は必要だ」との不満も漏れる。
 ステージは「1~4」の4段階で、人口10万人あたりの新規感染者数が1週間で15人以上なら3、25人以上なら4。そのほか、病床使用率は20%以上は3、50%以上で4という明確な基準があった。
 これに対し、レベルは「0~4」の5段階。「コロナに医療が対応できているか」「医療に負荷が生じているか」などに基づいて分類する。ステージとは異なり、レベルは分類を決める数値基準が少ない。「3週間後に確保病床が入院患者で埋まると推計」か「病床使用率や重症病床使用率が50%を超えた場合」という緊急事態宣言発令の目安となるレベル3に引き上げる時ぐらいだ。
 ただ、数値基準を放棄したわけではない。レベル1から2に上げる際の基準は、都道府県が病床使用率や新規感染者数などから「具体的な数値を設定する」ことになった。
 つまりステージの判断基準は全国一律だったが、レベルは都道府県が独自に判断できる。分科会の尾身茂会長は切り替えた理由を、「新規感染者数と医療逼迫の関係は、都道府県ごとに大きく異なる。地域ごとに医療逼迫が生じない水準に感染を抑えるため」と説明した。
 だが、分科会メンバーで全国知事会長の平井伸治・鳥取県知事は「住民にどのような明確なメッセージを出すか、都道府県に丸投げされたような形だ。新規感染者数がこのレベルに達したら危険だという指標は、あった方がよかったのではないか。感染対策の初動が遅れかねない」と指摘した。
 一方、厚生労働省に助言する専門家組織メンバーの前田秀雄・東京都北区保健所長は「患者の多くが入院できる地方部と都市部を同じ基準で考えることが難しくなってきた。医療を受けられない状況にならないよう、都道府県がそれぞれの医療体制を踏まえて対策を取ることが大切だ」と理解を示した。(池田悌一)

◆「予測ツール」が都より甘い 都モニタリング会議の専門家

 東京都モニタリング会議のメンバーの専門家は、レベル3で緊急事態宣言の目安となったことに、「これまではメルクマール(基準)がなく、発令が遅れがちだった。客観的な基準がやっとできた」と語った。
 ただし、新たに導入した病床逼迫を推計する「予測ツール」は、「逼迫度合いの算定方法が都の運用よりも甘く見積もられているように感じた」と指摘。都は国の目安より早めに確保病床を広げる方針をとっている。「甘ければ宣言を出しても病床確保が間に合わなくなるのではないか」と疑問を呈した。(加藤健太)

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