子宮頸がんワクチン、積極推奨の再開を決定 厚生労働省の専門部会が有効性と安全性を認める

2021年11月12日 21時55分

HPVワクチンを接種する高校生=10月、東京都内で(下平レディスクリニック提供)

 子宮けいがんの主因となるヒトパピローマウイルス(HPV)感染を防ぐワクチン接種について、厚生労働省の専門部会は12日、接種を国が促す「積極的勧奨」の再開を決定した。厚労省は近く勧奨を正式再開する。同ワクチンは副反応が疑われる症状が報告され、2013年6月以降、勧奨が控えられていたが、部会は国内外の研究から有効性と安全性を認めた。(原田遼)

◆海外と比べて低い接種率

 定期接種は勧奨停止後も続いており、対象は小学6年~高校1年生。再開により自治体から対象者に予診票(接種券)が個別に届くようになる。勧奨の停止期間に定期接種を受けなかった人に対しても、今後無料接種を検討する。
 HPVワクチンは13年4月に定期接種となったが、接種後に慢性疲労や歩行困難などの報告が相次ぎ、2カ月で勧奨が停止した。その後接種率は1%前後で推移しており、海外と比べて低い。
 安全性について、15年に名古屋市は15~21歳の約3万人を調査。「すぐ疲れる」「ふつうに歩けなくなった」など24の症状についての経験や時期を聞き取りした結果、ワクチン接種の有無による差は見られなかった。
 また今月発表された英国の研究チームによる追跡調査で、12~13歳でワクチンを打った群は、未接種群に比べて子宮頸がんの発生率が87%低く、予防効果が示された。

◆専門部会「有効性のエビデンス確認」

 専門部会はこうした研究から「有効性のエビデンス(証拠)が確認され、安全性も特段の懸念がない」とし、「積極的勧奨の差し控え終了が妥当」と結論づけた。
 接種後に日常生活に支障をきたすような健康被害が出た場合、接種との因果関係が示されなくても、医療費などが支給される可能性がある。
 一方、接種後に症状が出た約130人が国と製薬会社に損害賠償を求めた訴訟は全国4地裁で係争中。
 厚労省は「国内外の調査で接種後の多様な症状と、ワクチンとの関連性は明らかになっていない」としている。

HPVワクチンと子宮頸がん 子宮頸がんは性行為などでHPVに感染することが主因となり、毎年約1万1000人がかかり、約2800人が亡くなる。国内では2種類のワクチンが定期接種で認められており、厚労省は接種で感染原因を50~70%防げるとする。海外では接種が広がっており、英国やカナダは8割超。比較的低いフランスでも24%が接種している。

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