子宮頸がんワクチン、8年ぶりに積極勧奨再開 自民の一部「性の乱れ」と抵抗、コロナ追い風に

2021年11月13日 06時00分
HPVワクチンを接種する高校生=10月、東京都内で(下平レディスクリニック提供)

HPVワクチンを接種する高校生=10月、東京都内で(下平レディスクリニック提供)

 子宮頸がんの主因を予防するヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを巡り、「積極的勧奨」の再開を決めた厚生労働省専門部会。12日の会合では専門家から勧奨再開に異論は出なかった。一方で、副反応に対する国民の不安を念頭に「再開後、安全性を評価する審議の頻度を高めた方がいい」「多感な年代の女性にどのように接種を理解してもらうか考えて」などと注文が相次いだ。(原田遼)
 HPVワクチンを巡っては2013年、接種後に原因不明の歩行困難や強い疲労感を生じた女性たちがメディアで報じられ、社会問題化。定期接種開始から勧奨が2カ月で止まった。
 その後、こうした「多様な症状」とワクチンとの関連性を否定する研究が進んだが、勧奨は8年間止まったままだった。
 昨年以降、スウェーデン、英国で子宮頸がんの予防につながったとする追跡調査の研究が相次いで発表され、厚労省予防接種室は「有効性のエビデンスが出て、議論の素地ができた」とする。

◆自民党の一部が「性の乱れ」と抵抗

 しかし、ある政府関係者は「自民党内の保守的なグループが、HPVが性行為を通じて感染することから接種が『性の乱れ』につながると長く抵抗していた」と背景を明かし、「新型コロナのワクチン接種でワクチンそのものの効果を実感できるようになるなどして、ようやく議論ができる環境になった」と話した。
 厚労省によると、因果関係が分からないものや、すぐに回復したものを含め、接種後に重いアレルギー症状や神経系の症状が出た報告は1万人当たり5人。一方、子宮頸がんになる人は1万人当たり132人という。

◆「『安全だ』だけでは理解されない。正確なデータを」

 接種を推進する医師でつくる「みんパピ!」は今年8月、HPVワクチン未接種の高校1年生188人にアンケートをすると、「接種したい」と「接種したいと思わない」がともに約3割で拮抗。未接種の高校1年女子を持つ親212人に聞くと、それぞれ13%、51%で、親の方が抵抗が強かった。
 東京都杉並区の下平レディスクリニックの中島由美子院長は「最近、接種の相談にくる子どもや保護者が増えている」としつつ「接種後に症状が出た人のテレビ映像などから、副反応を怖がっている保護者には『安全だ』というだけでは理解されないだろう」と指摘。「今後も政府には正確なデータを示して、接種を検討してもらえるようにしてほしい」と話した。

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