[おばけ列車?] 岐阜県川辺町 長谷川淳(38)

2021年11月14日 07時39分

◆わたしの絵本

イラスト・まここっと

◆300文字小説 川又千秋監修
[初舞台]千葉県白井市・無職・75歳 迫田妙子

 今日は歌の発表会。市の文化会館の舞台で歌います。私にとっての初舞台で、もうドキドキです。
 出番は2番目。トップバッターは同じく新人の男性。平気そうにしているけど、大丈夫なのかなあ。
 私は「オールドブラックジョー」を英語で歌うんだけれど、歌詞がぶっ飛んでしまわないか心配です。
 カンペを折り畳んで、お守り代わりに持っているけど、手のひらに汗がにじんできます。
 昨夜は、なかなか寝付けなかった。
 「ちゃんと練習したんだから歌えるよ」と言い聞かせて、ようやく眠りにつきました。
 前の人が、終わりのお辞儀をしました。
 さあ、出番。笑顔が引きつりそう。
 「がんばれ!」
 自分に言って壇上へ。

<評> 拍手の中、会場の注目を一身に集めて、一歩を踏み出す瞬間のワクワクとドキドキが行間から伝わってきます。胸のトキメキも格別の初体験。読み手の側からも、思わず声援を送りたくなる一編。

[秋の夜長に] 愛知県蒲郡市・主婦・48歳 蔵本朱美

 秋の夜長に、お月さまを見上げるのが好きだ。
 夜の暗さの中に、そっと優しく、行灯(あんどん)のように。
 やわらかな光で、いつも、そこにいてくれる、お月さま。
 その優しさに、私は子どもの頃から心を包まれた。
 四十八歳になった今でも、夜空のお月さまを見上げる私。
 やわらかな優しさに心癒やされて、子どもに戻る私がいる。
 無垢(むく)な心に、優しく沁(し)みるやわらかな行灯の光。
 私の心に、安らぎのひとときが、灯(とも)される。
 秋の夜長に、
 「お月さま ありがとう」
 と微笑(ほほえ)んだ。

<評> 見上げる人を物思いに誘うとされる秋の月明かりですが、作者の胸中では優しい思いがやわらかに膨らんでいるようです。月光がひときわ冴(さ)える季節。今日の夜空も、きれいに晴れますように。

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