<社説>COP26合意 化石のままでよいのか

2021年11月16日 07時27分
 「産業革命前からの世界の気温上昇を一・五度以内に抑えるための努力の追求を決意する」−。英グラスゴーで開かれた気候変動枠組み条約第二十六回締約国会議(COP26)の合意文書は、こううたう。回りくどい表現だが、「一・五度」という共通の目標を明確にしたことで、世界が気候危機から脱する希望は辛うじて残された。
 COP21で採択された温暖化対策の国際ルール、パリ協定は「平均気温上昇を二度より十分低く保ち、一・五度に抑える努力を追求する」(第二条)と定めている。一・五度は努力目標とされていた。
 しかし、その後の科学的知見の積み重ねにより、気候危機の被害を最小限に抑えるには、「一・五度」は必須であるという認識が定着しつつある。国際社会が「一・五度目標」を共有し、明確に掲げたことは成果として評価したい。
 「一・五度目標」の達成には、二〇三〇年までに温室効果ガスの排出を一〇年比で45%削減し、五〇年には実質ゼロにする必要があるというのも科学の要請だ。ところが、各国が国連に登録している削減目標(NDC)がすべて達成されたとしても、今世紀末までに平均気温は二・七度上昇(現状は一・一度上昇)してしまう見通しだ。
 今回の合意は、各国に「来年末までにNDCを必要に応じて検証し、強化するよう」求めている。エジプトでのCOP27までに、より高い具体的な削減目標値を持ち寄る必要があるということだ。
 もう一つの焦点だった温室効果ガス排出量が多い石炭火力の扱いについて「排出抑制対策が取られていない石炭火力の段階的削減」を目指すことで合意した。途上国側の主張をいれて当初案の「廃止」から「削減」へと後退したとはいうものの、脱石炭の流れが加速するのは間違いない。
 期間中、コスタリカとデンマーク両政府の呼びかけで「脱石油・ガス国際同盟」が始動した。世界は「脱石炭」のみならず「脱化石燃料」に向かっている。石炭火力にこだわり、今回も国際NGOから温暖化対策に後ろ向きな国に贈られる「化石賞」を贈呈された日本は、世界の大きな潮流からは周回遅れの感がある。
 今回の合意は、第六次エネルギー基本計画で、三〇年時点でなお発電量の約二割を石炭火力に頼るつもりでいる日本に、政策の根本的な見直しを迫っている。

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