国民感覚からズレた月100万円の「文書通信費」 制度改正が臨時国会の焦点 使いみちは非公開 日割り規定もなし

2021年11月17日 06時00分
 実質的な活動実績のない新人議員らにも月額100万円が支給されることを問題視し、複数の政党が対応を検討している「文書通信交通滞在費(文通費)」。根拠となる歳費法に日割り規定がないため、国民感覚からかけ離れた制度になっている。使途公開の必要がない問題なども以前から指摘されており、12月予定の臨時国会では制度改正が焦点の一つになりそうだ。(上野実輝彦、木谷孝洋)

◆新人・復活議員は実質活動ゼロで10月分満額

 今回、最も問題視されているのが、先月の衆院選で初当選した新人議員と、落選期間を挟んで復活した元職議員の文通費だ。公職選挙法の規定では、衆院議員の任期は「総選挙の期日から起算する」とされる。
 新人と元職は法律上、10月31日から任期が始まっているため、活動が1日でも10月の文通費は支給される。日付を超えて11月1日に当選が決まった議員も、10月の活動は実質的にゼロだが支給対象だ。
 こうした議員に100万円全額が支給されるのは、歳費法で文通費について「議員は公の書類を発送し通信をなす等のため、月額100万円を受ける」とだけ記載され、日割り支給の規定がないからだ。新人や元職以外の連続当選した議員でも、10月の実働期間は衆院解散までの約半月だが、100万円を受け取れる。
 自民党や日本維新の会は10月分の文通費を党で徴収する方針。国庫への返納は公選法が禁止する「寄付行為」に該当するため、別途、適切な使い道を検討する考えだ。

◆月129万円余の議員歳費は「日割り」で支給

 対照的なのが毎月129万4000円支給される議員歳費だ。2010年の歳費法改正で日割り規定が盛り込まれた。歳費は10月まで、コロナ禍により2割削減されており、今回、新人と元職には削減後の1日分、約3万円が支給された。
 立憲民主党や維新などは、文通費を日割り支給できるよう改正法案を国会提出する構え。自民幹部は「歳費を日割りにした時、文通費もそろえておけば良かった」と話す。
 文通費は非課税で領収書を公開する義務もない。使途が不透明で「第2の財布」などと批判されてきた。共産党の小池晃書記局長は16日の会見で「滞在費名目で都内在住の議員にも支給されており、不合理。文書、通信、交通、滞在、それぞれ必要性を検討し直すべきだ」と指摘した。

◆自民党内には制度擁護論も

 一方、自民党には「選挙区と東京での二重生活や私設秘書の雇用、事務所の備品や通信など、議員活動を充実させるコストをカバーする趣旨」(世耕弘成参院幹事長)など、制度自体を擁護する意見もある。

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