感染悪化、ワクチン効果低減したら…政府、経済優先で行動緩和は「見切り発車」に 

2021年11月16日 21時37分
渋谷のスクランブル交差点を行き交う人たち

渋谷のスクランブル交差点を行き交う人たち

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が16日、行動制限緩和のための「ワクチン・検査パッケージ」の制度案を了承した。政府はこれを受け、社会経済活動の本格化に向けた取り組みを加速させる方針だ。ただ、感染状況の悪化に応じた運用停止の仕組みを設けず、ワクチンの効果低減の影響を考慮していないなど、見切り発車の色も濃い。

◆緊急事態宣言下でも運用

 制度案に盛り込まれた行動制限緩和策は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用下であっても運用され、感染状況を評価する5段階の「レベル」が高くなっても自動的にとりやめになる規定はない。一般医療が制限されるような場合でも「継続運用や停止を検討する」仕組みだ。
 松野博一官房長官は記者会見で、レベル分類に応じた運用の見直しは「関係省庁で検討が進められている」と述べるにとどめた。
 7~9月期の国内総生産(GDP)が半年ぶりのマイナス成長となり、政府は経済の立て直しに腐心する。飲食店を利用するグループの人数やイベントの人数の上限を撤廃し、都道府県をまたぐ移動の自粛要請をしないなど、個人消費の回復につなげたい考えだ。

◆分科会内にくすぶる異論

 もっとも、分科会内にも異論はくすぶる。ワクチンの効果は時間とともに「どんどん落ちることが分かっている」(幹部)が、接種証明に有効期限を設定しなかったからだ。日本に先行してワクチン接種が進んだ海外でも、接種後に陽性となる「ブレークスルー感染」やリバウンド(感染再拡大)は起きており、委員有志は意見書で「(制度案の)効果と限界を評価し、適宜見直すことが重要だ」と訴えた。
 ワクチンの3回目接種は2回目から6カ月後にも始められることになったが、国立感染症研究所の脇田隆字所長は分科会後の記者会見で「(効果の継続は)個人差が大きく、接種証明の有効期限を今すぐに6カ月と設定するのは難しい」と説明。分科会の尾身茂会長は「走りながら、経験を評価しながらやっていくことが大事だ」と語った。(柚木まり)

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