<点検 桜を見る会>特別編 納得いかぬ説明 「首相枠」は実質ノーチェック 与党政治家の推薦名簿は「即廃棄」 

2020年4月8日 02時00分
 今国会の論戦では、新型コロナウイルス感染拡大が焦点になっているが、安倍晋三首相の「桜を見る会」を巡る説明に国民が納得したわけではない。最新の世論調査でも、首相が「十分に説明していると思わない」は82・5%に上った。首相推薦の招待客の優遇、関連する公文書の取り扱いをまとめた。 (中根政人)

◆省庁推薦枠よりも 締め切りは遅く、通知は早く

 首相が推薦した地元支持者に関しては、招待客を最終的に決める立場の内閣府が実質的にノーチェックで招待していたのではないかとの疑問が出ている。
 理由は二つある。まず首相の地元支持者の参加募集の期限が、各省庁が内閣府に推薦者を伝える期限よりも遅かったからだ。昨年、各省庁が推薦者を返答する期限は二月八日だったのに対し、首相の地元支持者の応募締め切りは十二日後の同月二十日だった。
 政府は招待状を全参加者に同時期に出している。首相推薦の参加者は省庁推薦の功績・功労者よりも短期間の確認作業で招待状を受け取ったことになる。
 二つ目は、地元支持者への招待決定の通知が政府が招待状を送った時期よりも早かったことだ。政府が招待状を正式に送付したのは三月だったが、首相の地元事務所は二月中に支持者らに招待を知らせていた。
 通知書には「ご参加を賜りありがとうございます」と記載。都内観光などの案内も兼ねていた。首相は「招待プロセスを無視した不適切な表現で問題があった」と釈明しつつ、自身や事務所は招待客の最終決定に関わっていないとも主張している。
 事実経過から見れば、内閣府には首相の推薦者を十分にチェックをする時間はなかった。それでも、政府は「各方面からの推薦に基づいて一定のチェックを行っている」(菅義偉(すがよしひで)官房長官)と主張している。

◆政治推薦名簿は「即廃棄」扱い 「見る会」私物化の証拠

 各府省庁が提出する推薦者名簿の文書管理を巡っても、首相枠は特別扱いになっている。首相を含む与党政治家による「政治推薦」の名簿の保存期間が一年未満と極めて短く、実態としては「即廃棄」の扱いだったと問題視されている。
 内閣府や内閣官房を含む各府省庁は例年、招待客の人選のための推薦者名簿を作成し、内閣府に提出している。このうち、政治推薦の名簿を取り扱う内閣官房内閣総務官室は、推薦者名簿の保存期間を一年未満に設定していた。
 一方、本紙の取材では、各界功労者らの推薦者名簿を管理する各省庁は、名簿を長期間保存している。専任の閣僚を置く省のうち、推薦者名簿の保存期間を十年としていたのは総務、財務、文部科学、厚生労働、国土交通、防衛の各省。法務省は三年だった。
 農林水産省の担当者は、一定の保存期間を設定する理由に関し「毎年の推薦者に重複がないようにするため」と本紙に語った。こうした対応に比べ、政治推薦を扱う内閣官房内閣総務官室の対応は不自然に映る。
 政府は政治推薦名簿の保存期間を一年未満としていることについて「数千人に及ぶ個人情報が含まれる文書で、適切に管理することが困難」と説明。野党は政治推薦の名簿が「即廃棄」となっているのは、首相が桜を見る会を私物化していた証拠だと批判している。
(2020年3月23日朝刊「核心」欄に掲載)

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