首都圏の海岸で「軽石」の漂着確認 大量流入の公算は小さいが…漁業関係者ら警戒

2021年11月18日 06時00分

伊豆諸島・大島の砂浜で12日午前に見つかった軽石。1メートル四方に散らばっていたという(東京都提供)

 小笠原諸島(東京都)の海底火山「福徳岡ノ場」の噴火で発生したとみられる軽石が伊豆諸島(同)や神奈川、千葉両県の沿岸などに漂着し始めた。専門家は「東京湾に大量漂着する公算は小さい」とするが、漁業関係者や港湾を管理する都県は警戒を強めている。(小倉貞俊、志村彰太、酒井翔平、山口登史、山田雄一郎)
 気象庁によると、福徳岡ノ場では1904年以降、今回(8月13日)を含め、少なくとも8回の噴火が記録されている。
 伊豆諸島では5日から17日にかけ、御蔵島で3件、式根島、大島、神津島、三宅島、八丈島でそれぞれ1件、軽石の漂流または漂着が確認された。また、第3管区海上保安本部(横浜市)は15日、横浜から南へ約107キロ離れた伊豆諸島周辺で漂流を確認した。
 うち14日に神津島南側の沖合17キロで漁船が見つけたケースは、約5ミリの粒が10メートル幅で海面を浮遊(長さは不明)していたという。ほかの事例は、少量が浜辺に打ち上げられていたり、海面の数メートル四方に浮いている程度だった。
 都によると、防波堤で囲まれた港などに大量の軽石が流れ込むと滞留し、撤去に時間がかかる。停泊する漁船がエンジン冷却用に海水を取り入れると、一緒に小さな軽石を吸い込んで故障につながる恐れもある。
 都は「11月下旬に伊豆諸島に軽石が近づく」との海洋研究開発機構の予測を受け、港への流入を防ぐオイルフェンスを確保。都の担当者は「現状では船の運航に支障は出ていないが、予防措置として地元調整が付き次第、順次オイルフェンスを設置していく」と説明する。18日には神津島、御蔵島の港に設置するとした。今後の東京湾への漂着の有無も注視する。
 神奈川県では、10日に鎌倉市の七里ケ浜海岸で10数個の軽石が見つかった。1センチ四方から長径10センチの楕円形のものがあるという。県は「噴火との関連は不明」としながらも、月末に向けて軽石の漂着が増えるとみて、対応を検討している。
 千葉県では15日、館山市の平砂浦海岸で複数の軽石が見つかり、16日にも勝浦市の勝浦漁港内で軽石10数個が浮いているのを確認。県によると、ほかにも複数の情報が寄せられているが、17日時点で大量漂着はないという。
 港などへの軽石の流入を防ぐため、県が保有するオイルフェンスの現況確認を進めている。県水産課の担当者は「軽石が流れ着かないことを祈るばかりだが、最悪の場合を想定し、備えておきたい」と話した。

◆「潮の流れ、風向きなど条件そろえば漂着も」

海洋研究開発機構(神奈川県横須賀市)の吉田健太研究員

 海洋研究開発機構(神奈川県横須賀市)の吉田健太研究員(34)=岩石学=によると、「福徳岡ノ場」の噴火による軽石は1986年にも確認。4カ月かけて沖縄に漂着したという。
 今回の噴火は大規模で、86年に比べ大量の軽石が噴出したとみられる。季節による海流の違いや台風の影響で、沖縄漂着まで約2カ月と短かった。
 関東でも漂着の報告が続くが、吉田さんは「潮の流れや風向きなどの条件がそろうと、軽石が海岸に漂着する可能性はある。だが冬場は北風が続くため、大量の軽石がいきなり東京湾に押し寄せることは考えにくいだろう」と話す。
 黒潮に乗り、関東に流れ着く間に軽石同士がこすれて小さくなったり、ばらけたりすることもある。黒潮が沿岸近くを通過する房総半島に、さらに漂着する可能性もあるという。
 東京湾周辺は海上交通量が多く、船舶の被害を防ぐ備えは大切だ。8月の噴火以降、ツイッターなど会員制交流サイト(SNS)では、各地での軽石の漂着や漂流の報告投稿が相次いでいる。吉田さんは「海上や上空からのモニタリングとともに、SNSでの情報も警戒や対策のきっかけになるのでは」と話している。
(奥野斐)

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