<新型コロナ>首相、医療崩壊恐れ決断 知事・現場が発令促す

2020年4月7日 02時00分
 安倍晋三首相が六日、新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言の発令を決めたのは、患者急増で東京など都市部の医療崩壊の恐れが現実味を帯び始めたからだ。政府内には当初、経済への致命的な打撃を嫌い慎重論もあったが、東京都の小池百合子知事や大阪府の吉村洋文知事、日本医師会(日医)が発令を促し決断を後押しした。 (後藤孝好)
 首相は六日の対策本部会合で「さらなる事態の悪化も想定し、感染拡大の防止、医療提供体制の整備に最優先に取り組まなければならない」と強調した。
 宣言の背景にあるのは、東京や大阪など都市部を中心とした感染のまん延だ。東京では今月四、五日に連続で新たな感染者数が百人を超え、入院を待つ患者の病床不足が深刻化。無症状や軽症の感染者は都が借り上げた宿泊施設に移ってもらう運用を急いでいるが、オーバーシュート(爆発的患者急増)で医療提供体制が崩壊しかねない厳しい状況に陥っている。
 日医は一日、一部地域で病床が不足しつつあるとして「医療危機的状況宣言」を発表し、政府に一刻も早く宣言を出すよう重ねて要求。感染経路が不明の患者の増加で社会的な不安が広がり、インターネット上では「政府が四月一日に発令する」とのデマやフェイクニュースも流され、首相らが混乱の火消しに走る場面もあった。
 政府高官は三月下旬、宣言の可否について「他国と比べたら大したことない。発令すれば経済が止まってしまう」と否定的だった。世界的な感染拡大で経済が悪化する中、宣言の発令で追い打ちをかければ、政権の柱である経済政策「アベノミクス」の成果が失われかねないためだ。政府は慎重に状況を見極めてきたが、知事や医療現場の切実な声で外堀を埋められる格好となった。

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