山城三昧 街おこし企画 多古町・神崎町・匝瑳市

2021年11月18日 07時49分
 県北東部の東総地域で山城を題材にした街おこし企画が相次いでいる。県内では、里見八犬伝はじめ、軍記物の舞台に取り上げられる南総地域が歴史的に注目されているが、東総地域の中世の城郭遺構の多さは全国屈指といい、その存在を後世に伝えていくとともに、観光客を呼び込む魅力の一つとして役立てていく。(堀場達)

◆多古町 「日本初」お城開き 観光用に整備

物見台城跡前に標柱と説明板を設置して終了したお城開き=多古町で

多古町で今月六日、室町時代の一四〇〇年代初頭につくられたと推定される「物見台城」跡地で遺構を観光用に整備する「日本初」と銘打った「お城開き」があった。地元や県内外の山城ファンが昨年結成した「多古城郭保存活用会」が主催し、約五十人が参加し、草刈りや枝はらいなどの作業を行った。作業を進めると、城郭の縁に巡らされた防御遺構の「帯郭(おびくるわ)」、入り口の「虎口」などの跡が姿を現した。
 「下草が生い茂らず、やぶ蚊などにも悩まされない冬場こそ、山城巡りのトップシーズン」と会アドバイザーで歴史ナビゲーターの「山城ガールむつみ」こと宇野睦さんが開催を提案した。
 同会事務局長で「千葉城郭保存活用会」代表の小室裕一さん(59)によると、町内には三十を超える中世の山城跡が確認されているが地元でも知られていない。東総は古来、稲作が盛んで、山城が集積しているのは「米の収奪を防いだり、水運の集出荷拠点などとして築かれた」と小室さん。現在、山城の多くは私有地内にあるため、小室さんたちは、立ち入りできるように地主と交渉したり、散策路を設けたりの活動を進めてきた。
 「手入れが行き届かないため、ほとんどの山城はやぶが生い茂っており、活動は地主にも喜ばれる」と小室さん。並行して、むつみさんがデザインしたポストカード「御城印」の発行に取り組んだ。山城を訪れた際の手軽な土産になり、情報発信効果が期待できる。物見台城でのお城開きでは、御城印の売り上げから費用を捻出した説明板と標柱を城前に立てて終了した。
 市原市で民生委員・児童委員を務めている会社員嶋田浩之さん(60)は「歴史に関心があり、子どもの学習に山城が活用できるヒントになればと参加した」と話した。

◆神崎町 御城印に仕掛け 3枚並べると…

3枚並べると、一幅の絵になる御城印 (c)山城ガールむつみ(千葉城郭保存活用会提供)

 神崎町も山城の活用に乗り出し、27日に道の駅・発酵の里こうざきで、御城印が発売される。
 神崎ではかつて利根川(当時は香取海)に突き出た丘陵に「東の城」「中の城」「西の城」が連なるように築かれ、総称で神崎城と呼ばれた。1590(天正18)年の小田原合戦で、後北条氏にくみして、豊臣勢と戦い、落城した。今回は三つの城の印を並べると、一幅の絵となる工夫を初めて凝らした。城塞(じょうさい)前に帆掛け船が行き交い、交通の要衝だったことを印象づける。
 発行元の千葉城郭保存活用会は現在、県内72の城について、御城印を作成。カラー刷りでむつみさんが、各城の特徴や地形、城主らの家紋などをあしらう。会が手掛ける御城印は統一価格で1枚300円(税込み)。自治体単位では多古町で12城の印があり、全国最多という。

◆匝瑳市 史跡の魅力築け 会発足、活用策話し合う

山城の保存活用を巡って、熱い議論が交わされたパネルディスカッション=匝瑳市で

 多古町の隣の匝瑳市では「匝嵯城郭保存活用会」が発足した。同市には関東で最初の日蓮宗の檀林(僧侶の学問所)として造られた飯高寺(はんこうじ)があるなど、古来、文化が栄えた場所だが、歴史を十分に活用した施策は講じられてこなかったといい、山城など史跡の魅力を周知していく。
 八日市場公民館で、結成記念講演会とパネルディスカッションが今月七日開かれ、約八十人が出席した。代表に就いた都祭広一市議、郷土史家の依知川雅一さん、多古の会会長の高坂恭子町議、むつみさんが活用策を話し合った。
 どこから整備に着手するかについては、各自思い入れがあり、意見が割れた。依知川さんは「多古の会との連携を深めるため、市町境にある大堀城」を挙げ、むつみさんは観光周遊の観点から飯高寺近くの「飯高(いいだか)城」を推した。市内には落城悲話が伝わっており、会場からは「物語があると、さらに親しみやすくなる」と意見が寄せられた。

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