中国高官による性的関係強要告白のテニス選手、消息絶ち2週間 国営メディアは「無事」メール公開で火消しに躍起だが… 

2021年11月18日 21時39分

2017年全仏オープンテニスに出場した時の彭帥(AP)

 【北京=中沢穣】中国の女子プロテニス選手、彭帥ほうすいさん(35)が、共産党最高指導部のメンバーだった張高麗ちょうこうれい・前副首相(75)に性的関係を強要されたと告白して以降、2週間以上も消息を絶っているとして、テニス界などから憂慮や調査を求める声が出ている。中国国営の中国国際テレビ(CGTN)は18日、ツイッターで彭さんが書いたとするメールを公表したが、真偽は不明だ。

◆五輪ボイコット論への飛び火を警戒か

 米メディアによると、バイデン米政権は中国の人権侵害を理由に、北京冬季五輪に外交使節団を派遣しない「外交的ボイコット」を検討している。中国当局は、彭さんの件が五輪のボイコット論に飛び火することを警戒しており、外務省報道官は記者会見で連日、「外交問題ではない」と強調。CGTNの報道で沈静化を図った可能性がある。

2016年の人民大会に出席したときの張高麗副首相(AP)

 CGTNが報じたのは、彭さんが女子テニス協会(WTA)のスティーブ・サイモン最高経営責任者(CEO)に宛てたとするメール。サイモン氏は14日に「深刻な憂慮」を示す声明を出しており、メールには「性的暴行も含め、WTAの声明にあるニュースは事実ではない。私は行方不明でもない」と記されていた。中国国内ではメールについては報じられていない。
 サイモン氏はメールを受け取ったことを認めた上で、「より懸念が深まった。本人が書いたと信じるのは難しい」と応じた。WTAが彭さんと連絡が取れていないとも明らかにし、「いかなる脅迫や強制も受けない自由な発言が許されるべきだ」と訴えた。さらに中国当局に性的暴行の疑惑について徹底した調査を求め、米紙ニューヨーク・タイムズの取材には「適切な調査が行われなければ中国での業務停止も準備する」と踏み込んだ。

◆大坂なおみさんも無事願う

 テニス界からは、大坂なおみさんがツイッターで「彭帥はどこ」のハッシュタグを付け「彭帥と家族が無事であることを願う」などと投稿。男子世界ランク1位のノバク・ジョコビッチさんも声明を出した。
 彭さんは2日に中国のSNS「微博ウェイボ」で、張氏から性的関係を強要された後に不倫関係になったと書き込んだが、直後に削除された。彭さんが権力闘争に巻き込まれたとの見方もあるが、中国メディア関係者は「彭さんが勇気を出して告白したことを重視するべきだ」と話す。

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