<社説>ワクチン証明 感染状況見極め活用を

2021年11月19日 07時40分
 政府が導入する「ワクチン・検査パッケージ」は、新型コロナウイルス感染症対策と社会経済活動の両立が目的だが、感染拡大防止の効果は検証されていない。パッケージの活用は、感染対策の継続と感染状況の見極めが前提だ。
 パッケージは飲食店の利用やイベント参加の際、ワクチン接種証明書や検査の陰性証明書の提示で行動規制を緩和するものだ。
 自治体の認証を得た飲食店には酒類の提供、感染防止対策を講じたイベント主催者には一定程度の参加者を認めた上で、パッケージ活用で人数制限などを緩和する。広域移動の自粛も求めない。
 政府は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の感染状況でも、規制の緩和を認める方針だ。
 新型コロナワクチンの接種率は全国で75%を超えた。日常生活を維持するにはパッケージの活用はひとつのやり方だろう。
 しかし、政府が公表した飲食店やイベント会場などでの実証実験=写真、愛知県豊田市の豊田スタジアムで=の中間報告は、運用面のみの検証が中心だ。引き続きデータを収集し、感染拡大防止の効果を検証すべきである。
 ワクチンは接種から時間がたつと感染予防効果が下がるが、接種証明書は有効期限を定めない。接種後に感染し、感染を広げる懸念はある。検査は感染の有無を確実に判定するものでもなく、「すり抜け」が発生する。政府の対策分科会の専門家からも、こうした点に留意すべきだと指摘された。
 政府はパッケージの限界を繰り返し説明し、引き続き感染対策の徹底を呼び掛けるべきである。
 感染状況を判断する新しい基準では、緊急事態宣言は五段階のうち深刻度が二番目に高いレベル3に相当する。一般医療を相当程度制限して対策に当たる段階だ。
 経済活動に固執して感染を広げることは避けねばならない。政府と自治体は感染状況を共有し、パッケージ継続の可否を判断する条件を検討しておくべきだ。
 もはやコロナウイルスとの共存は避けられない。感染症対策と経済をどう両立させるか、不断の見直しと柔軟な対応が必要である。

関連キーワード


おすすめ情報