コロナで日本酒の出荷激減 酒米余って、さあどうする?<まちビズ最前線>

2021年11月21日 05時50分
 新型コロナ禍に伴う飲食店の時短営業や酒類の提供禁止の影響で日本酒の出荷量が減り、原料となる酒米が余っている。ことしの新酒造りが本格化する中、都内の保育園などで余った酒米を給食やおやつなどの食用に使い、フードロスを減らそうとする動きが出ている。(畑間香織)

余った酒米で作ったチーズおやきを食べる園児たち=渋谷区の美希保育園北参道で

◆おやき、ピザ、ドーナツにも変身

 「いただきます!」。10月下旬、渋谷区の美希保育園北参道のおやつの時間。園児たちは花模様のチーズが添えられたおやきを「おいしい」と笑顔で平らげた。材料に使われたのは神奈川県海老名市の老舗酒蔵「泉橋酒造」が2020年に収穫した酒米「山田錦」だ。
 町田知之園長(44)は「食育は園として大切にしている。酒米を使っていると保護者に伝え、フードロスに関心を持つきっかけになれば」と話した。

酒米を前に話す泉橋酒造の橋場友一社長=神奈川県海老名市で

 同酒造は酒米用の田んぼ約46ヘクタールを管理するが、コロナ禍で日本酒販売数が減り、昨年4月に初めて作付面積を2割減に。20年産の酒米も余った。取引先の飲食店に使ってもらおうと考えたが、緊急事態宣言の長期化や酒類の提供禁止の影響で、飲食店にもその余力はなかった。
 園で調理を担当する「安田物産」(同県大和市)はそれを知り、来年3月までに計約20トンの酒米購入を決定。粘りけのある酒米の特徴を生かしたライスピザやぼたもち、ドーナツなどの料理を今年8月以降、東京都や神奈川県内の保育園や幼稚園、横浜市内の市立中学校など計約230カ所の給食に提供している。

◆地産地消を大切に フードロス防ぐ試みになれば

酒米を使ったライスピザなどを試作する安田物産の従業員=神奈川県大和市で

 安田物産の安田幹仁社長(46)は「給食は地産地消を大切にしている。地元の企業や農家に力を落としてほしくなかった」と強調。「酒米の一部を消費することでフードロスを防ぐ試みになればうれしい」と語った。
 泉橋酒造6代目蔵元の橋場友一社長(53)は「酒米を処分する可能性もあったので、買ってくれると聞いたときはすごくうれしくて安心した」と振り返り、「地元の田んぼを守るためにもコロナ禍を乗り越えたい」と前を向いた。

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