岸田首相、経済対策でアベノミクスとの違い見えず 独自色アピールも新味乏しく 

2021年11月20日 06時00分
 政府が19日にまとめた経済対策は、安倍・菅政権の取り組みをおおむね踏襲する内容だ。岸田文雄首相は「新しい資本主義実現会議」などの会議体を相次いで立ち上げ、独自色のアピールに腐心するが、成長戦略も分配政策もアベノミクスとの違いは見えにくい。(山口哲人)

臨時閣議に臨む岸田首相(中央)ら

 第2次岸田内閣発足後、首相は安倍政権の目玉政策だった「1億総活躍」などに関連する有識者会議と担当部署を廃止。一方、持論の「成長と分配の好循環」実現に向けて5つの会議体を新設し、経済対策につながる議論を担わせた。政策に「岸田色」を反映させる狙いからだ。
 だが、経済対策のメニューは安倍・菅政権で既に着手している政策が多く、新味は乏しい。今回、分配政策の柱の1つに据えたのが、看護や介護、保育などの現場で働く人の収入の引き上げだ。首相が9月の自民党総裁選で訴えた内容を具体化した格好だが、安倍政権も2015年に打ち出した「新・3本の矢」の一環で、保育士や介護職員の処遇改善に取り組んでいる。
 成長戦略も同様だ。「成長と分配の好循環」というフレーズは、安倍晋三元首相が16年の施政方針演説で用いたのと同じ。首相は分配よりも企業支援による経済成長を優先する姿勢を明確にしており、「アベノミクスと大きく変わらない」(閣僚経験者)のが実態。経済官庁幹部からは「誰も『新しい資本主義』が何か分からず、困っている」など辛辣な声も上がる。

◆識者「同じ失敗の繰り返しの恐れ」

 明治大公共政策大学院の田中秀明教授(政策研究)は、安倍・菅政権の9年で日本の競争力が低下したことを指摘し、「なぜ日本の成長力が上がらず、賃金が増えなかったのか、原因と問題を分析し、政策を省みない限り、同じ失敗の繰り返しになる恐れがある」と語った。

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