高収入の共働き世帯に10万円給付 「公平性と迅速性との兼ね合いで判断」と岸田首相 本紙などインタビュー  

2021年11月19日 20時51分
 岸田文雄首相は19日、首相官邸で本紙などのインタビューに応じた。経済対策に盛り込まれた18歳以下への10万円相当の給付を巡り、収入が多い共働き世帯が所得制限を受けないことへの批判について「(支給の)公平性と迅速性の兼ね合いの中で今の結論に達した」と理解を求めた。(山口哲人)

グループインタビューに答える岸田首相

 10万円相当の給付は夫婦と子ども2人のモデル世帯の場合、年収960万円未満を対象とする所得制限を設定。世帯の中で多い方の年収を基準にしているため、夫婦合算の収入が1800万円程度の共働き世帯でも受給できる場合があり、自民党内からも「大変不公平」(高市早苗政調会長)といった不満が出ている。
 本紙は、政府が給付の目的を子育て支援と位置付けていることを指摘した上で「公平性を犠牲にし、迅速性を重視した判断は妥当なのか」と質問。首相は「プッシュ型で迅速に支援を行う」ことを優先して、現行の児童手当の仕組みを活用したと説明した。
 給付の決定過程についても、安倍・菅政権と同様の官邸主導だったのではないかとただしたのに対し、首相は「党の全国会議員が参加できる形で議論を行っている」と答えた。
 改憲に関しては、2024年9月の党総裁任期中の実現を目指し、来年の参院選で争点に掲げる意向を表明。憲法9条への自衛隊明記を含む党改憲4項目について「国会で議論が進むなら、4項目同時ということにはこだわらない」と語った。
 19日に行われた岸田文雄首相の合同インタビューのうち、本紙記者との主なやりとりは次の通り。
 記者 18歳以下への10万円給付について、全ての子育て世帯が困窮しているとは言い切れず、与野党から公平性を巡り疑問が出ている。政策目的はコロナ禍の経済対策なのか、子育て支援なのか。自民党内から児童手当の収入基準の見直しを求める声もあるが、改正の必要性はあるか。自公両党の幹事長間の協議でスピード決着したが、一部の人だけで政策決定を主導した安倍・菅政権とどう違うのか。チーム力や聞く力の重要性を主張している首相の方針と齟齬そごはないか。 
 首相 今回はできるだけ困った人に集中する形をとり、公平性と迅速性との兼ね合いで今の結論に達したということだ。児童手当の仕組みについては与党内にも賛否があり、議論はこれからも丁寧にやっていくことは大事だ。一部の人間が決めたという指摘だが、経済対策は党内で2回にわたって議論している。一部の人間が同意をとりつけたということは当たらない。

◆改憲「自衛隊の明記は違憲論争に終止符を打つ」

 記者 改憲について、首相は自民党総裁選で(3年間の)総裁任期中に実現したい、めどをつけたいと言っていた。その考えは撤回したのか。
 首相 私の考え方は従来申し上げている通りだ。しかし、今は行政府のトップである首相の立場から立法府での議論に何か言うことは控えなければいけないのではないかと言っている。
 記者 首相は安全保障関連法が成立した直後、自らの派閥会合で「当面、憲法9条の改正は考えない」と発言していた。今は自衛隊の明記を含む自民党改憲4項目はいずれも大事だと言っているが、どういう理由で変わったのか。
 首相 安全保障関連法は憲法が掲げる平和主義の理念と現実の厳しい安全保障環境を両立させるぎりぎりのところを議論し、成立させた。改憲4項目は自衛隊に違憲論争が存在することについてどう考えるかという議論だから、議論のベースが違う。平和安全法制における思いは今でも変わっていない。一方で自衛隊の明記は違憲論争に終止符を打つという意味で重要だ。変わったとか矛盾するということでない。
 記者 首相は経済再生が先で、それから財政(健全化)だと主張している。どういう基準で経済が再生したと判断するのか。将来的な増税も含め、財政規律の維持のためにどういう取り組みが念頭にあるのか。
 首相 経済の再生なくして財政再建はないという考え方に立つ。どうなったら経済が立ち直ったのかは、経済の好循環、持続可能性の見通しが立つことはもちろん大事だが、もう一つはやはり税収(動向)だ。消費税(増税)は考えないが、(別の)増税を考えるにしても税収がどうなっているかが大きなポイントではないか。

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