<社説>経済対策決定 効果は行き渡るのか

2021年11月20日 06時43分
 政府が新たな経済対策を閣議決定した。公的な財政支出は過去最大の五十五兆七千億円に達する。国民に資金を配る事業が中心だが、効果や支援の公平性をめぐり疑問符を付けざるを得ない。
 財政支出は国の予算に地方の負担分や国が貸し付ける財政投融資を加えた額だ。本年度の補正予算案のほか来年度の当初予算案にも盛り込み、一体で編成する。
 目玉は年収九百六十万円の所得制限を設けた十八歳以下向けの十万円相当の給付や住民税非課税世帯への現金十万円給付、売り上げ減の中小企業向けの最大二百五十万円の支給だ。いずれも事実上お金を国民に直接届ける施策で、一時的な支援にはなっても効果の継続性には疑問が残る。
 夫婦合算で高収入を得ている子育て世帯が給付対象となる可能性がある半面、子どもがいなかったり夫婦の一方が少しでも制限を超えていればもらえないなど公平性にも課題がある。現金給付は過去の例をみても多くが貯蓄に回る可能性が高い。
 政府は給付の経済効果や配布の仕組みを丁寧に説明する必要がある。このままだと困窮世帯に支援が行き渡らない恐れもある。国民の声に耳を傾け、不平等な部分については制度設計の修正も含め柔軟に対応すべきだ。
 対策には岸田首相が推進する「新しい資本主義実現会議」の提言も反映された。企業に賃上げを促す税制や看護や介護、保育人材の待遇改善が具体策だ。
 だがこうした施策は安倍、菅両政権でも行われてきた上、賃上げ税制は効果も不透明だ。首相が掲げる方針のどこが「新しい」のか、「分配」の強化にどうつながるのか詳細な説明を求めたい。
 財源をめぐる議論が不十分な点も指摘したい。今回も対策の財源を確保するため赤字国債を発行する。だが日銀の国債の買い取りには限界があり日銀自体の財務もゆがめつつある。
 対策には国土強靱(きょうじん)化の推進などコロナ禍とは関係の薄い施策も盛り込まれている。この傾向は対策のたびに鮮明となっており、予算が膨らむ主因となっている。
 補正予算案についても本予算案同様、国会での審議時間を十分確保すべきだ。
 本予算に比べ審議時間が短い補正予算を省益拡大の具にしてはならない。

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