「荻窪の家」厠を再現 「棟方志功と杉並」郷土博物館で企画展

2021年11月20日 07時05分

再現された、雪隠観音が描かれた厠=いずれも杉並区で

 版画家棟方志功(一九〇三〜七五年)と杉並との関わりに焦点を当てた企画展「棟方志功と杉並−『荻窪の家』と『本の仕事』」が、区立郷土博物館の本館(大宮一)と分館(天沼三)で開かれている。棟方は自身が暮らした「荻窪の家」の厠(かわや)の壁に雪隠(せっちん)観音を描いた。その厠が実物大で再現されている。(砂上麻子)
 棟方は青森で生まれた。上京し、一九二六(大正十五)年に阿佐谷、五一(昭和二十六)年から荻窪で暮らし、亡くなるまで杉並に住んだ。
 本館では、アトリエを中心とした家の俯瞰(ふかん)図を展示。棟方は厠を「大安心所」と考え、どこに住んでも厠の壁に観音像を描いた。五五(同三十)年の元日に厠の壁面に観音像を描く写真が残されており、その写真を基に厠を再現した。観音像は、生き生きとした筆づかいで描かれ、人間らしい一面が垣間見える。
 また、昭和十年代から挿絵画家として活動を始めた。親交を重ねた谷崎潤一郎の作品など、手がけた本の装丁や挿絵は千冊を超えるといわれる。
 淡い色彩や筆文字などの本の表紙や挿絵は、版画とは異なる作風。本に新たな魅力を吹き込んでいる。
 このほか、五六(同三十一)年にベネチア・ビエンナーレ国際美術展で、国際版画大賞を受賞した版画「柳緑花紅頌(りゅうりょくかこうしょう)」などの代表作も紹介。分館では、棟方の日常の姿を収めた写真や棟方が手がけた和菓子店の包装紙などが紹介されている。
 同館学芸員の金子さおりさんは「棟方志功が杉並で暮らしていたことを知らない人も多い。杉並とのつながりを知ってほしい」と話す。
 ゆかりの地である青森市、富山県南砺市、中野区、岡山県倉敷市で二〇一六年から開かれてきた「棟方志功サミット」が二十八日に杉並区で開催されるのを記念して企画された。
 十二月五日まで。午前九時〜午後五時(休館日月曜日)。観覧料本館百円、分館無料。

棟方志功の作品が展示された会場


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