豊洲市場の「千客万来」いつ? 2024年初頭に開業ずれ込みも コロナ禍が影響

2021年11月21日 06時00分
 国内最大級の中央卸売市場・豊洲市場(東京都江東区)内に整備される観光拠点「千客万来施設」の開業時期が、当初予定の2023年春から遅れる見通しになっている。運営事業者は新型コロナウイルス禍の影響を理由に、24年初頭へずれ込む可能性を示す。ただ、コロナ禍で市場の観光客数が大きく落ち込む中、都は事業者に対し遅延を認めずに工期短縮を要求。地元江東区からも予定通りの開業を求める声が上がる。(小倉貞俊)

本格工事が始まった豊洲市場の観光拠点「千客万来施設」の建設予定地。左奥は加工パッケージ棟

 施設は、1.1ヘクタールの敷地に江戸の街並みを再現した飲食・物販エリアと温泉・宿泊棟で構成し、豊洲市場のにぎわい創出を目指す。都は、整備と運営を担う温泉施設運営会社「万葉倶楽部くらぶ」(神奈川県)との間で「22年12月完成」とする合意書を交わし、23年春開業の予定だった。

◆温泉施設運営会社は「収益悪化で資金調達に時間」

 ところが同社は今年8月、都に「完成が予定より10カ月遅れる」と報告。コロナ禍の収益悪化で銀行からの資金調達に時間がかかったことや、東京五輪前の建築需要増で工費が上がり、設計の一部見直しが生じたことなどを理由に挙げた。内装工事などを経ると、開業は24年初頭にずれ込むとみられるという。
 豊洲市場での観光拠点整備はこれまでも紆余曲折うよきょくせつをたどってきた。江東区は10年前、築地からの市場移転を受け入れる3条件の1つとして都に「にぎわいを創出する施設」の整備を提示。市場移転と同時に開業するはずだった。しかし採算への不安が生じたことなどから事業者が撤退し、いったんは白紙となった。
 その後の事業者再公募で万葉倶楽部が選ばれたが、小池百合子知事が17年6月、築地市場跡地に「食のテーマパーク」を整備すると発言。これに同社が「豊洲の施設と競合する」と反発し、小池知事が同社社長に謝罪して何とか事業再開に至った経緯があった。

◆江東区は遅れを認めぬ構え 都は工期短縮を要求

 一方、コロナ禍で豊洲市場への観光客も減少。昨年に市場のPRコーナーを訪れたのは5万5000人で、市場オープン翌年の19年(約41万人)から1割余まで落ち込んだ。
 こうした中、市場受け入れの代わりに施設による観光振興などをもくろんだ形の江東区は、遅れを認めない構え。担当者は「施設開業は都との約束。しっかり守っていただきたい」と強調する。区議会からは、市場で現在暫定営業する飲食エリアの期間延長や、千客万来施設の一部先行開業を求める意見も出ている。

建設予定地には開業予定時期として「2023年春」と掲げられたままになっている

 都は区との「約束」を重視しており、担当者は「スケジュールの遅れは重く、了承することはできない。事業者には工期短縮を求めるとともに、厳しく理由を聴取している」と話す。
 万葉倶楽部の担当者は取材に「当初予定通りの完成は難しいが、発注先の五洋建設と協議しており、なるべく工期短縮できるよう検討している」としている。

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