コロナ 長引く後遺症 現役世代、仕事に支障も 傷病手当、休業給付 活用を

2021年11月22日 10時54分
 新型コロナウイルスの感染後に現れる「後遺症」。確立された治療法がない中で、倦怠(けんたい)感や息切れ、味覚・嗅覚障害など症状は幅広く、一年以上続くケースがあることも分かってきた。流行は落ち着いているものの、今夏の「第五波」によって、後遺症は若い人にも広がることが予想される。働けなくなるなどの場合に備え、活用できる公的制度を確認しておくことが大事だ。 (海老名徳馬)
 感染確認から三カ月以内に発症して二カ月以上続き、ほかの病気では説明できない症状−。世界保健機関(WHO)は十月、新型コロナの後遺症の定義を初めて発表した。倦怠感や呼吸困難、認知障害など症状は多岐にわたり、感染中に始まるもの、回復後に始まるものがあると指摘した。
 一月に感染した名古屋市の女性(24)が悩まされているのは、突然襲ってくる激しい眠気だ。十月から新たに保険の営業の仕事を始めたばかり。研修を受けている最中に眠り込むことが数回あった。
 上司には「コロナ後の症状」として理解してもらえたが、今後は社外で人と会う機会も増える。「寝てはいけないと思うほど、眠くなる」と、今月初旬、愛知医科大メディカルクリニック(同市)のコロナ後遺症外来を受診した。
 同外来には四月の開設から七月までに、百四十六人が訪れた。クリニック長の馬場研二さん(64)によると、二十〜三十代に次いで四十代、五十代もそれぞれ二割ほどと現役世代が多い。受診希望者は後を絶たず、今月から診療時間を延ばした。馬場さんは「仕事ができず、休職している人もいる。症状が長引いている患者も多い」と明かす。

コロナ後の症状に苦しむ女性を診る馬場研二クリニック長=愛知医科大メディカルクリニックで

 国立国際医療研究センターが十月に発表した国内最大規模の調査では、四人に一人が発症または診断から半年後も何らかの症状があると回答。一年後に症状が残っている人も8・8%に上る。感染症法上の「新型インフルエンザ等感染症」に分類される新型コロナの治療費は公費で賄われるが、後遺症の場合は現役世代だと三割負担だ。
 療養で働けなくなった場合、会社員や公務員なら、健康保険の傷病手当金がある。休んで四日目以降が対象で、給与の三分の二程度が受け取れる。期間は支給開始から一年六カ月で、健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)などへの申請が必要だ。
 一方で、感染したのが業務中であっても、後遺症で労災保険の補償を受けられるかは不透明だ。厚生労働省は昨年四月、仕事が原因で感染した可能性が高ければ、積極的に労災を認定する方針を示した。労働基準監督署への申請は十月末時点で二万七百二件で、認定率は約八割と高い。認定されれば治療費は全額、休業四日目から給与の八割が補償される。期限もなく傷病手当金より手厚い。
 ただ、名古屋労災職業病研究会の成田博厚さん(49)が支援した人の中には、後遺症で仕事を休んだ期間の休業給付が一時的に停止された例があった。企業の人事労務に詳しい特定社会保険労務士の深津伸子さん(48)は「症状がコロナによるものか、他の病気によるものか、医学的な知見が集積されておらず、判断は難しいだろう」と話す。
 厚労省による診療の手引は「症状の遷延」という言葉で後遺症を表現する。遷延は「物事が長引くこと」の意味で、「それぞれの症状と新型コロナウイルスの因果関係は不明」としているのが現状だ。
 成田さんは「後遺症のケアにどう取り組むかは、大きな課題」と指摘する。実態がよく分からない分、患者の不安は大きい。深津さんは「まずは後遺症をよく診ている医師を受診するのがいい。その上で給付申請を考えてほしい」と呼び掛ける。

関連キーワード


おすすめ情報

健康の新着

記事一覧