「立民らしさ」「ウイング拡大」は共有も…目指す政権の具体像は描き切れず 立憲民主党代表選の討論会

2021年11月23日 06時00分
 逢坂誠二元首相補佐官(62)、小川淳也元総務政務官(50)、泉健太政調会長(47)、西村智奈美元厚生労働副大臣(54)の4氏が立候補した立憲民主党の代表選は、自民党に代わる政権の「受け皿」となり得る社会像や政策を示せるかどうかが問われる。22日の日本記者クラブ主催の公開討論会で、候補者らは「立民らしさ」を意識し、庶民重視や富裕層への課税強化といった方向性を主張したものの、実際に政権を担えることを示す具体策まではアピールし切れなかった。(井上峻輔)

◆4氏とも「庶民」を重視

 「権力者ではなく、庶民が元気な国にしていく」。泉氏は討論会の冒頭、目指す社会像についてこう訴えた。他候補も「自助努力が問われる社会のはざまで苦しんでいる人がいる」(小川氏)、「多様性を力に理不尽を許さない」(西村氏)などと主張した。
 4氏が「庶民」を重視するのは、自営業者や業界団体が主な支持層とされる自民党を意識しているためだ。18歳以下への10万円給付は全員が見直しを主張し、生活困窮世帯への支援では「ワーキングプア層への手当が手薄」(小川氏)といった課題を挙げた。
 自民党とは異なる具体策で足並みがそろったのは、課税強化などによって富裕層や大企業の負担を今より増やし、困窮層への再配分にあてることだ。逢坂氏は「所得再配分の機能を取り戻す必要がある」と分配強化に意欲を示し、所得税の最高税率見直しや、法人税率上積みを提案。他の3氏も同様の考えを訴えた。

◆自民党政権の問題点は厳しく指摘も…

 各氏とも公文書改ざん問題や10万円給付など、自民党政権の問題点を語る場面では流ちょうだったが、立民が目指す政権像や社会像を表現するのは苦戦しているように見えた。
 安全保障に関しては、逢坂氏が「政権がどうなろうとも安定的でなくてはならない」、小川氏が「外交安保政策は安定的かつ現実的運営が必要」と説明。各氏とも日米同盟を基軸とした現状を引き継ぐ姿勢を表明した。衆院選で野党4党の共通公約に掲げた安保関連法の違憲部分の廃止に関し、小川氏は「対米関係を含め、極めて慎重に議論していく」と言葉を選んだ。
 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設を巡っても、衆院選公約は「中止」と明記したが、逢坂、泉両氏は「いったん中止」と話すにとどめた。「批判ばかり」という党の印象が衆院選の不振につながった、との指摘を意識したとみられるが「何をする政党か国民に浸透していなかった」(中堅)ことへの反証としては説得力を欠いた。
 支持層の拡大では、リベラルから中道まで取り込むという方向性は共通しているが、具体性を欠いた。
 候補者の中では中道寄りの小川、泉両氏は、穏健保守や中道層を積極的に取り込む考えを強調し、小川氏は「ボリュームゾーン」と呼んだ。リベラル寄りといわれる逢坂氏も「ウイングを広げないと政権交代できる立場にならない」と主張したが、道筋は明示しなかった。
 リベラル寄りの西村氏は、衆院選で躍進した日本維新の会は「私の考えとは相いれない」と重ねて表明。「ウイングを広げることで、(自分たちの)立ち位置が揺らいでしまうのでは」と温度差をにじませた。

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