株式会社紀文食品「創業84年目に上場!紀文が誇る強みとは?」宮﨑香蓮の社会科見学

2021年12月8日 09時50分

女優・宮﨑香蓮が、東京を拠点に歴史を重ねている企業に訪問し、自らインタビュー取材をします。取材先では、「ヒットの秘訣」「受け継がれている歴史や大切にしているもの」を中心に様々な『モノ・ヒト・コト』をお聞きし、歴史について学んだり、業界ならではのお話、これからについて発信していきます。

これからの季節に欠かせないお料理
ほかほかと体の温まる、おでんや鍋料理の季節がやってきましたね。皆さんはどんな「おでんの具」や「鍋料理」が好きですか?今回取材したのは、株式会社紀文食品。おでんの具を始め、さまざまな食品を手掛けている老舗企業です。これを読んだら、きっとおでんや鍋料理が食べたくなるはずです!

「日本一の商人になる!」幼い頃の志から始まった紀文

 紀文食品は1938年に「山形屋米店」という名前で創業しました。創業したのは保芦邦人ほあしくにひと氏。保芦氏は、山形県の大石田町に生まれ、幼少時に商売人の働く姿を見て、その存在に憧れを抱きました。(なんと小学校低学年の時から考えていたようです!)
言い出したら後に引かない性格で、若い頃から自分の考えをしっかりと持っている人物でした。
その後、保芦氏は高等科卒業後に上京し、商店で働き始めます。この頃から、飛び込みで得意先を開拓したり、店で取り扱っていない商品も取り寄せたりしていました。周りのお店とのコミュニケーションを取り、今でいうマーケティングも実践しながら、行動力と手腕を発揮していきます。
そして、25歳の時に「山形屋米店」を東京の八丁堀に開店し独立。当時の社会情勢による困難によって販売商品を変えていく中で、知り合いのご縁もあり、築地で「紀伊國屋果物店」を始めました。
その後、保芦氏は海産物卸売りを経て“水産練り物製品”と出会い、今に続く紀文の礎を築くことになります。
ちなみにこの「紀伊國屋果物店」ですが、お客さんから「きのくにやさん」と呼ばれることに保芦氏は違和感を感じていたようです。そこでもっと気軽に呼んでもらえるように、最後に「ん」がつくと「運がつく」というゲン担ぎも込め屋号を「紀文」と改名したのです!
「紀文の礎」となったこの時期に、大きな役割を果たしたのがイタリア製のバイク“モト・グッチィ”です。公務員の初任給が540円だった時代に、3万円もするこのバイクを保芦氏は購入。その理由は、新鮮な原材料を仕入れるための効率が高められること、そして何よりも良い素材で作ったおいしい商品をお客様にお届けしたい、という一心からでした。「紀文」の看板を掲げた“モト・グッチィ”が街を駆け抜ける姿は、商品の品質とともに評判となります。このバイクは革新的な発想と品質を重視する「紀文」の精神の象徴として、今でも社内で大切に保管されています。(めちゃくちゃカッコいいバイクでした!)

当時購入した頃の“モト・グッチィ”。今でもメンテナンスを欠かさず、大切に保管されている。(日の出オフィスエントランスにて)

 「紀文」で初期の頃に製造販売を始めた水産練り物製品は、さつま揚やはんぺんの他に「揚ボール」や「つみれ」。それらは初期から名前を変えずに今でも販売しています。築地で店を構えながら、前述した様々な評判が広がり、百貨店でも商品が扱われるようになります。そのお陰でより多くの人に「紀文」の名が認知されるようになりました。
紀文は「安全面への配慮」をいち早く始めた企業でした。工場のユニフォームを真っ白な「白衣」に統一し、商品もパッケージ化を導入。また品質の証として練り物に「紀文」の焼き印を入れて販売するなど、その革新性が伺い知れます。

安全にお客様のもとへ!そのためには冷蔵車だって作ります!

 各地の百貨店から呼ばれるようになるなど、紀文の商品を取り扱いたいという声が増えたことで、量産化に力を入れ始めます。
 1963年に横浜工場が完成し、量産化体制が整います。ちょうどスーパーマーケットが全国的に広がり始めていた時代で、販売ルートも徐々に拡大。そこで重要視されたのはやはり「商品の品質」。全国のスーパーに商品を安全に届けるため、紀文では業界に先駆けて“冷蔵車”を用意します。適した冷蔵車が市場になかったため、自前で冷蔵状態で運べるトラックを作り配送に使用しました。こうして商品を低温で管理しながら安全に全国に届けられるようになりました。

今回、インタビューに応じてくれた広報部村田真由香さん

1972年には物流センターも完成し、さらに早くお客様の元へ届けられるようになりました。新鮮なまま届けたいという想いは“モト・グッチィ”を購入したときと同じ信念。創業当時からの想いがずっと繋がっているんですね。

日本の伝統食文化を伝えていくのが紀文の使命

 おでんの種って、地域ごとに特色がありますよね。有名なのは「ちくわぶ」。長崎県出身のわたしは、上京するまでその存在すら知りませんでした……!
紀文ではおでんにまつわるアンケート調査を行っています。「好きな具ランキング」ではちくわぶは関東でしかランクインしていません。そもそも江戸が起原のものなのだそうです。
また「はんぺん」も地域性があるようで、コンビニでも売られている白いはんぺんは「浮きはんぺん」という種類で実は関東発祥のもの。さつま揚げのことを、はんぺんと呼ぶ地域もあります。また牛すじは関西で定番など、様々な特色が見えてきます。こういった地域性がある理由は、各地域に根付いている食材を使用することにあるようです。地域による食文化の違いは紀文の創業以前からあったものが今でも残っているそうですね。そんな中でも、全国展開で販売する企業は紀文が先駆けであったこと、「量産化」と「チルド物流」の体制が早いうちから成功されたことで、全国どこでも紀文の商品が食べられるという、これまでの企業努力が感じられます。
 日本の伝統食品である「練り物」を扱う紀文では「和食文化」を大切にしています。その一環として始めたのがおせち料理の販売でした。
ここでも安全面の配慮がなされ、具材ごとに包装した「個包装・カセット方式」と呼ばれるパッケージのおせちお重詰めセットを1982年に販売開始します。これは味や匂いが他の食品に移りづらく、自分でお重に詰める楽しみもある画期的な商品でした。

簡単に美味しくもてなしができる「紀文のおせち料理」

紀文ではおせち料理というお祝いごとの伝統が続くように、アンケート調査や、気軽に作れるおせち料理の提案など、様々な取り組みも行っています。
2021年のお正月はコロナ禍で実家に帰れないこともあり、自宅でおせち料理を用意する人が前年より増えていたそうです。おせち作りは意外と楽しいという声もあったため、今年はもっと楽しんでもらえるよう紀文のホームページ内に、「YES.NO診断」を作り、一人一人の好みに合ったおせち料理の提案を行なっています。私もこの診断に答えてみたんですが、おせち作りのハードルが下がった気がしました。今は「お重詰は無理だけど、何品かちょっと作ってみようかな?」と思っています。きっかけって大事ですね!
ちなみにおでんも、おせちもこれからが本番ということで、秋から冬が明けるまで紀文では毎年、大忙しのシーズンになるそうです。

美味しさと安心安全を第一に、グローバル展開へ!

 様々な商品がある紀文ですが、タンパク質の加工技術を持っていることも強みでもあります。商品の原材料を見てみると魚肉、畜肉、鶏卵、大豆など、確かにどれもタンパク質。例えば、ロングセラーの「魚河岸あげ®」は魚のすり身と豆腐という、二種類のタンパク質を組み合わせて独自のふわふわ食感を生み出しています。
もう一つの強みが麺状加工技術です。現在の「糖質制限ブーム」が来る前の2013年には「糖質0g麺」を販売開始しています。元々、おからを原料にした麺が販売されており、糖尿病の患者さんなど糖質をとることができない方々から高い評価を受けていました。その声を聞いて「糖質ゼロ」を前面に押し出す商品名にしたところ大ヒット。さらに糖質制限ブームが来て、一時は供給が追いつかないほどになったそうです。
このように紀文独自の技術を組み合わせて開発した様々な商品を市場に送り出しています。
 さらなる挑戦として、海外展開にも力を入れています。東南アジア圏は魚食の文化なので、練り製品と呼ばれるさつま揚げのようなものは以前からあり、元から親和性が高かったそうです。最近ではヨーロッパ圏でも人気が広がっています。「カニカマ」はサンドイッチの具などに使われることもあるそうです。「SURIMI」という単語も徐々に知られるようになってきました。
とは言っても人気なのはまだ「カニカマ」だけなんですと、広報担当の村田さん。日本でも近年、タンパク質ブームになっていますが、基本的に練り物は高タンパクかつ低脂質な食品です。カニカマに限らず海外の食文化に練り製品が受け入れられる機会は十分にあるはず、と海外拠点を増やしています。
 安心安全を第一に考え、より早くより多くの人へ商品を届けたい。創業からの理念は変わっていません。半年ごとに新商品を出すという挑戦も忘れてはいません。“モト・グッチィ”がその象徴としてオフィスの入り口に大切に飾られている意味が分かったような気がします。
これからも様々な商品が出てくることを楽しみにしております!

取材後記

今回は本当にお腹が空く取材でした(笑)。紀文さんはこれからの季節が忙しくなる、と書きましたが、やはり「春夏にも練り物を食べて欲しい!」という想いもあるそうです。練り物って、そのまま食べるのはもちろん、焼いてマヨネーズをつけたりしても美味しいし、素麺やうどんのトッピングにも合うかも?たしかに春夏も十分に楽しめますね。お腹が空いてきました…。ので、「チーちく®」と「魚河岸あげ®」を食べながらこの記事を書いているのでした…!お忙しい中、取材に対応してくださった広報部の村田真由香さんありがとうございました!

《今回の取材先》株式会社紀文食品
水産練り製品を中心とした総合加工食品メーカー。東京・築地魚河岸から始まり、日本全国だけでなく、海外展開においても注目されている。
ロングセラーになったオリジナル商品「魚河岸あげ®」と「チーちく®」は今でも人気商品。さらに「糖質0g麺」は国内外で売上が拡大し続けている。日本の伝統文化を継承し、安心安全の食品を提供することはもちろんのこと、健康意識の高いお客様に向けて、独自の加工技術を生かした商品の研究・開発に注力している。
住所
(本社)東京都中央区銀座五丁目15番1号
(日の出オフィス)東京都港区海岸二丁目1番7号




PROFILE
宮﨑香蓮(みやざき かれん)
1993年11月20日生まれ。2006年「第11回全日本国民的美少女コンテスト」演技部門賞を受賞し、女優として活動中。NHK大河ドラマ『花燃ゆ』ではヒロインの幼馴染・入江すみ役として出演するなど、いま活躍を期待される若手女優の代表格。
【お知らせ】
・12月9日(木)19:30~ 放送
NHK BSプレミアム「ニッポンぶらり鉄道旅」東京メトロ千代田線
・テレビ朝日 木曜ミステリー「遺留捜査」(滝沢綾子役)
・舞台「マミィ!」(赤坂レッドシアター)
・SSFF&ASIA 2020 ジャパン部門ノミネート作品「BENTHOS」主演(美嘉役)
・東京2020オリンピック聖火リレー 長崎県内走行ランナー
・島原ふるさとPR大使

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