暴力団相手でも被害回復できる! 特殊詐欺事件を短期決着 弁護士「報復恐れず声を上げて」

2021年11月23日 18時36分
暴力団を相手とした特殊詐欺訴訟の意義を語る荒生祐樹弁護士=さいたま市内で

暴力団を相手とした特殊詐欺訴訟の意義を語る荒生祐樹弁護士=さいたま市内で

 指定暴力団住吉会系組員が関与した特殊詐欺の被害者3人が、暴力団対策法(暴対法)上の責任があるとして、同会トップらに損害賠償を求めた訴訟は22日、東京地裁で和解が成立した。4月の提訴から約7カ月での短期決着となり、原告弁護団の荒生あらお祐樹弁護士は「暴力団相手でも被害回復できる手段があると、多くの詐欺被害者に知ってほしい」と話している。
 原告はいずれも関東在住の高齢者で、2017年に総額399万円をだまし取られる詐欺被害に遭った。この事件で詐欺グループのまとめ役だった組員2人が埼玉県警に逮捕され、19年に詐欺罪などで実刑が確定した。
 暴対法は、指定暴力団の組員が威力を利用した資金獲得行為で他人の生命や身体、財産を侵害した場合、トップらが賠償責任を負うと定めている。
 埼玉弁護士会所属の弁護士11人が弁護団を結成し、被害者5人に被害回復の可能性があることを伝えて提訴を検討するよう申し出たが、当初は被害者の家族も含めて「報復が怖い」と抵抗感が強かったという。
 弁護団は警察の保護対策があることや、当事者以外に原告らの氏名が分からないよう訴状などの閲覧制限を裁判所に申し立てることなど、安全やプライバシーに配慮することを説明。最終的に3人が今年4月、組員2人や関功会長(事件当時)ら計4人に総額約480万円の賠償を求めて提訴した。
 訴訟では、9月の第1回口頭弁論で被告側が早期和解を希望。総額301万円を支払う内容で和解が成立し、既に支払われた。弁護団によると、特殊詐欺を巡り、暴対法で指定暴力団トップの責任を追及した訴訟の和解は3例目という。
 荒生弁護士は、解決事例を積み上げることが特殊詐欺の抑止や暴力団の資金源を断つことにつながると意義を強調。和解成立後に埼玉県庁で開いた記者会見では「必要な保護対策をするので、被害に遭った人は声を上げてほしい」と呼び掛けた。(杉原雄介)

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