韓国・全斗煥元大統領が死去 民主化弾圧で批判、一時は死刑判決 経済発展を評価する声も
2021年11月23日 21時39分
【ソウル=木下大資】韓国で1979年に粛軍クーデターを起こし実権を握った全斗煥 元大統領が23日、ソウルの自宅で死去した。90歳。血液のがんで闘病していた。大統領在任中は経済成長路線を築いたが、80年の光州事件など民主化運動を弾圧した過去に批判が絶えなかった。
先月26日には盟友の盧泰愚 元大統領が死去したばかり。民主化前の軍事政権の当事者が相次いで世を去った。
在任中は冷戦下で米国と関係を強め、83年のラングーン事件では北朝鮮によるテロの標的になった。日本と向き合う姿勢を見せ、84年に韓国大統領として初めて訪日。昭和天皇から「今世紀の一時期において両国の間に不幸な過去が存したことは誠に遺憾」とのお言葉を受けた。88年のソウル五輪招致に成功して韓国の国際的地位を高め、経済発展に成功したことを功績として評価する声も一部にある。
大統領直接選挙を求める世論の高まりを受けて87年、与党代表の盧氏に「民主化宣言」をさせて政権移譲を表明。退任後は利権介入などの発覚で親族が逮捕され、私財の国庫献納を表明した。光州事件を首謀したなどとして95年に逮捕、起訴され、一時は死刑判決を受けた。その後、無期懲役に減刑され服役したが、97年に特赦で釈放された。
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