自衛隊機の部品代「言い値」で調達か? 価格高騰最大6年で10倍に チェック部門なく「民間ならあり得ない」

2021年11月24日 06時00分
 自衛隊の航空機とヘリコプターのうち国産6機種の部品価格が量産開始からの6~12年で最大10倍超に上昇していたことが、財務省の調べで分かった。直接の原因は主に原材料費の高騰や為替の変動だが、防衛省側は契約担当者ら一部を除き実態を把握しておらず、値上げの妥当性を巡る十分な検証を行わないまま支払いに応じていた可能性がある。岸田政権は防衛費の大幅な増額を目指すが、コスト意識が低いままでは予算の無駄遣いを助長しかねない。

◆油圧系統部品が数百万から数千万円に

 財務省は6機種の1点100万円以上の部品を対象に、最新の契約価格を導入時と比較して上げ幅を算出し、15日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)分科会に報告した。詳細な金額は非公表だが、海上自衛隊のP1哨戒機は油圧系統部品が数百万円(2008年度)から数千万円(20年度)に約4.4倍上昇。陸海空の各自衛隊に配備されているヘリコプターは、尾翼関連部品の20年度の単価が14年度比で約10.2倍に膨らんだ。
 この2機種はいずれも輸入品を使っているが、国産の場合でも海自ヘリのエンジン部品は当初の数千万円が6年後に約4.3倍の数億円となった。
 6機種別に見ても、部品価格は平均1.5倍~2.4倍だった。

◆価格上昇に中長期的視点欠く

 原因としては、機種本体が国産でも部品の多くは輸入に頼っているため、為替変動の影響を受けやすいことが挙げられる。防衛装備品は部品も独自仕様になりがちで、汎用品のように価格競争を通じたコスト抑制が難しい側面もあるというのが防衛省側の言い分だ。
 一方、財務省は防衛省側が機体メーカーに下請け企業への部品発注を委ね、適正価格かどうか十分検証できていないと分析。民生品の使用割合を高め、調達先を多様化できるよう促している。
 防衛装備庁の担当者は取材に対し、価格変動の要因は「契約の都度、確認している」と説明する。ただ確認するのは契約担当部署が中心で前回契約との比較にとどまる。価格上昇について中長期的な視点に欠け、組織全体で情報を共有していなかったとして、改善策を検討しているという。
 分科会の臨時委員を務めるSMBC日興証券の末沢豪謙氏は、取材に「日本は(価格の妥当性を)チェックする専門部署がないから『言い値』で調達することになってしまう。民間ならあり得ない方法で、相当割高になっている可能性がある」と指摘。国の財政状況を踏まえ「賢い支出に努めなければ国民の理解は得られない」と話した。(川田篤志)

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