<ゴッホ展 私の一枚>(4)林家たい平 絵の中にひそかな日本 《レモンの籠と瓶》1888年

2021年11月24日 07時19分
 さしてゴッホに詳しいわけでもないが、ふらっと訪ねてみた。そこで一枚の絵の前で足が止まった。「レモンの籠と瓶」。これはことによったら富士山を描いているのではないかと。時系列の展示会場を遡(さかのぼ)った。ゴッホがいつ浮世絵に出合ったかを知りたかったからだ。この絵を描いた前年の1887年に出合い強く感銘を受け、模写などを試みていると知った。この絵を制作した88年に何枚かの静物画を描いているが、それとは全く異なる色調。その微妙な色使いに日本の色を感じた。画面に大胆な三角の構図をもたらす黄色いテーブルと瓶で富士山を形づくり、前景としてレモンの籠。陰影を付けないレモン、赤い輪郭がしっかり出た籠などはまさに浮世絵。勝手な想像でゴッホの心の中を駆け巡り、静物画の中にもひそかに日本を見つけてうれしくなった。 (落語家)

フィンセント・ファン・ゴッホ 《レモンの籠と瓶》 1888年5月 クレラー=ミュラー美術館 ⒸKröller-Müller Museum,Otterlo,The Netherlands

 =おわり

◆12月12日まで都美術館で

「ゴッホ展−響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」は12月12日まで東京都美術館(東京・上野)で開催中。日時指定予約制。会場で当日券を若干数販売(売り切れ次第終了)。

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