<社説>日韓関係の改善 文政権任期内に糸口を

2021年11月24日 07時56分
 来年三月の韓国大統領選に向けて、与野党の候補が出そろった。悪化したままの日本との関係改善も議論になってはいるが、経緯が複雑であり、次の大統領に誰が就いても、関係を解きほぐすことは難しい。来年五月までの文在寅(ムンジェイン)大統領の任期内に、改善の糸口をつくっておくべきではないか。日韓双方に努力を促したい。
 与党候補の李在明(イジェミョン)前京畿道知事は日本に対し、文政権よりも強硬姿勢を示す一方、最大野党の候補となった尹錫悦(ユンソクヨル)前検事総長は諸懸案の一括解決を表明している。
 焦点は元慰安婦や元徴用工の問題だ。元徴用工問題では、韓国の地方裁判所が関連する日本企業の資産に売却命令を出し、このまま「現金化」された場合、関係悪化は決定的になる。
 両国間の対立は、北朝鮮対応を巡り、ワシントンで行われた日米韓三カ国の次官級協議でも表面化した。韓国高官の竹島上陸を受けて日本側が共同記者会見を拒み、シャーマン米国務副長官が、一人だけで会見に臨む異例の事態となった。
 今年七月、文大統領が東京五輪に合わせて訪日を計画した際、一定の歩み寄りがあったとも伝えられる。半導体素材の対韓輸出規制を日本側が見直せば、韓国側も機密情報を交換する「日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」を維持する内容だったという。
 この時の論議を土台に、日韓両国の首脳が、関係の立て直しに向き合ってはどうか。
 日本側では岸田文雄内閣が発足し、交代した首相、外相の双方が日韓関係の改善には韓国側の適切な対応が必要だとしている。
 しかし、関係悪化の背景には、解釈の違う「歴史問題」がある。相手方に責任を押し付けるだけでは事態は動かないだろう。さらに韓国側が新政権に移行すれば、協議は振り出しに戻ってしまう。
 日韓両国間には、北朝鮮問題に加え、気候変動や少子高齢化、軍事的台頭を続ける中国への対応など共通の課題が山積する。いがみ合うよりも、協調して課題に向き合う方がメリットが大きいことを、両政府は再確認すべきだ。

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