<Q&A>国の石油備蓄放出 ガソリンや灯油など市民生活への影響は?

2021年11月25日 06時00分
 ガソリンなどの高騰に歯止めをかけるため、政府が初めて各国と協調して石油の国家備蓄を放出します。どんな効果を狙っているのでしょうか。(岸本拓也、妹尾聡太)
 Q 石油備蓄とは。
  資源の乏しい日本は、石油を輸入に頼っています。中東をはじめ産油国の政情不安で輸入が途絶えた時に備え、国と民間企業で分担して原油と石油製品を備蓄しています。法律は、国に国内需要の90日分、民間は70日分の備蓄を義務付け、9月末時点で国が145日分、民間が90日分を保有しています。
 Q これまでに備蓄を放出したことは?
  2011年の東日本大震災の際など、緊急時の供給不足に対応する形で民間分を放出しています。国家備蓄も油種を入れ替えるため年数回売却していますが、国際協調で売却することは初めてです。法律上、原油の値下げを目的に備蓄を売却することはできないため、政府は表向き「油種入れ替えの一環」と説明。ただ、「(原油価格引き下げを狙う)国際協調のために売却時期を前倒しした」と、異例の対応であることを認めています。
 Q 放出方法と効果は?
  年内にも石油元売り会社など向けに入札を行い、数日分の数十万キロリットルを売却する予定です。世の中に供給される石油が増えることで、原油高に歯止めをかける効果が見込まれます。原油はガソリンや灯油のほか、化学品や繊維などの原料でもあり、生活に身近なプラスチック製品や衣料品の値上げを抑え、市民生活の負担増をやわらげる可能性も期待されます。
 Q うまくいきますか。
  SMBC日興証券によると、米国や日本が協調して放出する石油は約7000万バレル。世界の消費量の0・7日分にとどまる見込みで、市場では「原油価格を大きく押し下げる効果は期待できない」(エコノミスト)との見方が出ています。

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