英作家ディケンズの『クリスマス・キャロル』の主人公スクルー…

2021年11月25日 07時01分
 英作家ディケンズの『クリスマス・キャロル』の主人公スクルージはクリスマスを憎んでいる▼「搾り取り、もぎ取り、つかみ取り、握りしめて」。そうやって生きてきた欲深いスクルージには、クリスマスに人が優しく、おおらかな気持ちになるのが理解できない。「くだらない」。そう考えていた▼クリスマスシーズンを前にして、原油価格の上昇を黙認するかのような石油輸出国の対応が、米国などにはあくどいスクルージの「搾り取り、もぎ取り」の振るまいに見えたのだろう。米国、日本、中国、インド、英国、韓国は連携し、それぞれの政府が保有する石油備蓄を放出する方針を打ち出した▼主要国が声を合わせて、備蓄を放出するようなことは聞いたことがない。放出によって石油の供給量を増やし、ガソリンなどの価格上昇を抑え込もうという狙いだろうが、問題はその効果である▼一時的に価格は抑制できたとしても放出できる量には限度があり、長くは続くまい。スクルージはクリスマスイブに出現した三人の幽霊によって、優しい心を取り戻したが、備蓄放出という荒業が増産を渋る石油輸出国の対応を大きく変えるとは思えない。むしろ、態度を硬化させ、対立を強める危険もある▼必要なのは奇手ではなく率直な話し合いだろう。解決に向け、主要国と石油輸出国との間の摩擦を減らす潤滑油を放出したい。

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