一段と愛らしく…結婚式彩る花「カラー」に新品種 千葉県が開発、スリムな「ブリリアント・ベル」

2021年11月25日 07時02分

【新品種・ブリリアント・ベル】乳白色の花びら、小ぶりに 茎は細く、短く

 太く長い茎と巻形の花がゴージャスな「カラー」は、結婚式を彩る花として知られている。花言葉は「乙女のしとやかさ」。しかし、近年は結婚式が簡素化。折しもコロナ禍で自宅で花を楽しむ人も増えた。そこで全国一の出荷量を誇る千葉県が、時代に合った新品種「ブリリアント・ベル」を開発、今季から出荷されている。
 白く広がった花びらと、すっきりとした細い茎がテーブルを上品に飾った。

千葉県浦安市内のホテルで行われたデビューイベントで飾られたブリリアント・ベル

 十一月上旬、同県浦安市で、生産者や市場関係者、小売業者ら約六十人を集め、ブリリアント・ベルのデビューイベントが催された。花き取扱量全国一の東京都中央卸売市場大田市場の卸会社、「大田花き」宍戸純商品開発部長(49)は「時代に合うのは、ゴツい従来種より汎用(はんよう)性が高く一人暮らしでも楽しめる新品種」と好評価。デビュー初年度の出荷量は数万本で全体の一割にも満たないが「五割ほど新品種に入れ替えていい」と期待を寄せた。

カラーの新品種ブリリアント・ベル(左)は、従来種より茎が細く、花も小ぶり=千葉県提供

 カラーは、サトイモ科の多年草で、定番の白花はウエディングドレスを連想させ、ハデ婚が流行したバブル期の一九八〇年代から結婚式で好まれてきた。
 従来の主な品種「ウェディングマーチ」は長さ一メートル前後、直径二センチほど。数本を束ねてブーケにすると「ネギみたい」「太すぎて握りにくい」との声が聞かれ、近年広まるジミ婚やナチュラル婚になじまなくなった。一般家庭も顧客ターゲットだが、重さで花瓶が倒れるなど扱いにくさも壁になっていた。
 これらを解消しようと、県は二〇〇九年からウェディングマーチに比較的早熟の品種を掛けた新品種の開発に着手。二十年前に開発した品種「アクアホワイト」の弱点だった疫病への弱さを克服すべく、十種類以上の交配を試行錯誤した。
 こうして誕生した新品種のブリリアント・ベルは、茎の太さは一センチ前後、丈も六十〜七十センチほどにサイズダウン。小ぶりの花はクリームがかった白で、愛らしさが増した。

井戸水が流れるビニールハウスでカラーを育てる鳥海弘樹さん=千葉県君津市で

 千葉県は花きの産出額が愛知県に次ぐ全国二位の百七十四億円(二〇一九年)で、首都圏の花の供給源を担う。その主要品目がカラーだ。県南部の君津市が名産地で、一九六〇年ごろから栽培が盛んとなり、現在、約五十軒が年間約百七十万本を出荷する。湧き水が豊富で、井戸水が季節を問わず水温一五度前後を保っている点が栽培に適しているという。
 株が植えられているビニールハウスを訪ねた。ハウス内の圃場(ほじょう)に、地下から湧き出る水を掛け流しで送り込み育てていた。生産者の鳥海弘樹さん(44)は「夏は冷たく冬は温かい水が、暑さで球根が腐るのを防ぎ、霜や凍結から守ってくれる」。
 新品種の強みはサイズだけではない。従来種の本格的な収穫期は十二月〜五月で、秋のブライダルシーズンに間に合わなかったが、新品種は収穫開始時期が十月からと早まった。開発当時は予想もできなかったコロナ禍でイベントが激減したのは打撃だが、家庭で花に癒やしを求めるなど新たな生活様式は加速している。農家の期待を背負いデビューしたブリリアント・ベル。「今の時代にマッチした花として末永く、愛されてほしい」と鳥海さんは願う。
 文と写真・中谷秀樹
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