妻がどんどん好きになる 青い鳥は隣にいた! 結婚40年・フリーアナ梶原しげるさん

2021年11月25日 07時14分

笑顔で手をつなぐ梶原しげるさん(右)と妻のまり子さん=東京都内で

 「妻がどんどん好きになる」−。フリーアナウンサー梶原しげるさん(71)は照れずに堂々と宣言する。結婚生活40年を超え、古希を迎えてたどりついた夫婦の理想の境地。贖罪(しょくざい)と感謝を込めて出版したエッセーのタイトルに、冒頭の言葉を使った。「高齢期は第2のハネムーン」と確信する梶原さんに、妻にもう一度恋をする秘訣(ひけつ)を聞いた。 (宮崎美紀子)

妻への思いを語る梶原しげるさん


 「ここ五年、十年、出張から帰る時や一人でいる時に『ああ、早く奥さんと話をしたいな〜』と思うことが増えたんですね」
 何でも話せるのは、やはり妻しかいない。気付けばどんどん好きになっている。これは老化か? 異常なのか? 親しいカウンセラーに相談すると、「青い鳥は一番近くにいることに気付いたんですね」と言われたという。腑(ふ)に落ちた梶原さんの第二のハネムーンが始まった。

結婚生活を振り返るまり子さん

 文化放送の局アナだった梶原さんは一九七九年に妻のまり子さん(72)と結婚。その後、フリーに転じ、帯番組「本気でDONDON」やテレビの仕事を抱えていた梶原さんは、子育ても家事も妻に任せっきり。「稼ぐこと=夫の役割」が昭和の男のスタンダード。ケンカをしたことはなかった。梶原さんが黙り込むからケンカにもならなかった。
 夫婦の関係が大きく変わったのは約二十五年前。まり子さんに運動機能が低下する小脳の難病が見つかった。
 「気が強く、へこたれない妻の弱いところも知って、もっといたわりたいと思ったんです」。まり子さんの体を気遣い、いつも手をつなぐようになった。「介助」だから周りの目は気にならない。つないだ手から体温と気持ちも伝わった。
 梶原さん夫婦は病気がきっかけだったが、年を取ると心が妻に戻っていくのは自然な流れだという。
 「他の女性に相手にされないというのもありますが、一緒に積み重ねた年輪は大きな財産で、妻は共通体験を語り合うのに最もふさわしい相手。もし一人残されたらと思うと涙が出そうになります」
 とはいえ、急に心を入れ替えてもうまくはいかない。そのための五か条を表にまとめた。例えば「褒める」。とってつけた褒め言葉はしらじらしい。褒めるために相手を観察することが肝要となる。
 共通の趣味も夫婦円満の秘訣だが、奥さんの趣味に乗っかるのが得策だ。梶原さん夫婦の場合は宝塚歌劇。まり子さんは「夫に理解されず困っている人がいっぱいいますから、こんな幸せなことはない」と、すっかり宝塚に染まった夫に目を細めた。
 今は新婚当時より百倍妻が好きという梶原さん。「下手したら百歳まで生きる高齢化時代、二人で笑いながら老いをかみしめることが最高のぜいたく。奥さんを大事にしない人は、いい人生の締めくくりにならないですよ」

梶原しげるさん著「妻がどんどん好きになる」。光文社から25日発売。税込み1650円

 ちなみに、本のタイトルの感想をまり子さんに求めると、「困っちゃう。世間さまに申し訳ない」と恥ずかしそうな笑顔が返ってきた。
<かじわら・しげる> 1950年生まれ、神奈川県茅ケ崎市出身。早稲田大学卒。文化放送を経て、フリーに。49歳で東京成徳大学大学院に入り心理学の修士号を取得。シニア産業カウンセラーでもある。「口のきき方」「敬語力の基本」など著書多数。現在はラジオ「言葉のアンテナ」(栃木放送ほか)に出演中。オンライン話し方教室「ツタバナ」の塾長も務めている。 

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